DC「元本確保型のみ」運用者、運管により大きな差

「物価が上がり続けている今、定期預金に預けたままでは実質的に資産が減ってしまうのでは」。そんな心配を抱く人も増えているだろう。iDeCoにおいても、加入者のうち一定程度が定期預金などの「元本確保型商品」のみで運用を行っている実態が明らかになった(「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2026」金融庁、2026年7月24日公表)。

同レポートによると、確定拠出年金(DC)加入者のうち元本確保型商品のみで運用している割合は約20%。さらにその割合は運営管理機関(運管)ごとに大きな差がある。以下は大手運管11社・地銀等における元本確保型商品のみで運用する加入者の割合を示した図だ。
 

出所:金融庁

iDeCoにおける全体平均は18%だが、金融機関の業態別で見るとその差が顕著だ。証券会社では3~17%と低い水準に収まっているのに対し、主要行(大手銀行)は7~32%、生命保険・損害保険会社は32~41%となっている。さらに地方銀行等では5~64%と差が大きく、特に40%以上の分布も目立つ。

なお企業型DCにおいても全体平均は22%であり、証券会社の14%〜17%に対して、地方銀行等では7%~44%にのぼるなど同様の偏りが見られる。

これは加入者個人の資産運用に対する姿勢の違いだけではない。運管が提供するサポート体制やシステム環境の違いが結果に大きな影響を与えている可能性がうかがえる。

なぜ差が生じる? 金融機関の取り組みには違いが…

レポートでは元本確保型商品のみ運用者の割合が低い運管と高い運管を比較しており、結果、①加入者状況のモニタリングと対応、②継続投資教育、③商品選定・入替などで取り組みに差が見られた。

①については、元本確保型のみ運用者の割合が低い運管では、記録管理機関※から加入者のデータを定期的に取り寄せ、加入者の資産構成などを把握している。その上で、元本確保型のみを選択している加入者やログインサイトに未アクセスの加入者を抽出し、アプリやメール等でカスタマイズした情報提供を行っている。

※加入者の資産額や個人情報を記録・管理する専門機関。レコードキーパー(RK)とも呼ばれる

また、②については企業型DCのケースとなるが、継続投資教育において、過去の物価上昇率や将来のライフイベント費用など具体的な数値で示し、元本確保型だけで運用するリスクを分かりやすく説明するなどの取り組みにより元本確保型商品のみ運用者の減少につなげている。③については、加入者が商品を選ばない場合に自動適用される指定運用方法(デフォルト商品)としてバランス型ファンドを設定するなど、長期的な資産形成に役立つ工夫を凝らしている。

一方、元本確保型商品のみで運用する加入者の割合が高い運営管理機関では、加入者データの分析やモニタリング体制が十分に整備されておらず、情報提供が画一的な書面の送付にとどまっているケースがみられる。さらに、運用商品の変更手続きの負担や「商品選択は自己責任」という考え方から、指定運用方法の設定や不適切な商品の除外といった環境整備に消極的な傾向がみられるという。