中計未達と買収失敗——「説明の質」を問う
3Dが指摘し続けてきたのは、数値目標の未達とその要因分析が未消化なまま次の計画を発表し続けるサイクルだ。特に2025年2月18日付の公開質問状では、Stone Brewing社の買収による減損を契機に、Anchor Brewing社など過去の買収失敗の根本原因を総括するよう迫った。さらに監査等委員会宛ての9つの質問では、買収に関与した当事者でもある社内出身の監査等委員長(宮石徹氏)が本件を客観的に検証できるのかという独立性の根拠を追及している。
サッポロ側はこれに対し2025年2月28日付で回答を公開したが、3Dは同年3月5日に「懸念を払拭するものでない」と反論し、ポール・ブロフ氏の取締役選任提案を維持した。
この論点について、改訂CGコードの2つの原則に照らし合わせて詳しく見ていきたい。原則4-1では「中期経営計画が目標未達に終わった場合には、その原因や自社が行った対応の内容を十分に分析し、株主に説明を行うとともに、その分析を次期以降の計画に反映させるべきである」と解釈指針を示している。さらに原則4-9では「取締役会における率直・活発で建設的な検討への貢献が期待できるなど、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすことができる資質を十分に備えた人物を独立社外取締役の候補者として選定すべきである」と新設原則として独立、人数・比率という形式的な充足を超えて、専門性と独立性の「実質」を問う位置づけとなった。
