「持っているだけでパッとしない株」がある日突然、資産売却や株主還元で急騰する――。そんな「大化け株」を事前に見抜くヒントは、アクティビストの動向と「コーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)」の改訂との掛け合わせにある。一見難解なルール改訂だが、中身は「本気で変革に挑む企業」を見分ける最強のチェックリストだ。本記事ではサッポロホールディングス(証券コード:2501)とアクティビストである3Dインベストメント・パートナーズ(以下、3D)の攻防をケーススタディに、CGコード改訂を武器として「次に化ける割安株」を先回りで見抜く、個人投資家向けの実践的な着眼点を解説する。

2026年7月21日に改訂されたCGコードの原則は、3Dがサッポロに対して数年にわたり突きつけてきた論点と深く符合する。両者が問いかけているのは「形式的な対応か、実質的な対応か」という一点だ。

不動産依存が招いた経営規律の弛緩

サッポロの課題の本質は、本業の採算が悪化しても不動産賃貸収入が連結損益を支える構造に甘んじ、経営陣が危機感を持ちにくい状態が長期化した点にある。

3Dが2023年に提言資料で指摘したのは、この「不動産依存」の構造が経営規律の弛緩を生んできたという論点だ。安定した収益源があることで、コア事業の抜本的な改革が先送りされてきたというのが3Dの見立てであった。これに対するサッポロ側の主張は定量的な説明を求める3D側の要求とかみ合わず、両者の議論は平行線をたどった。

改訂されたCGコードの原則4-2では解釈指針に、取締役会が「現預金等の金融資産や実物資産等の経営資源を成長投資等に有効活用できているかを含め、不断に検証を行うべきである」と明記されている。実物資産を抱えたまま本業の資本効率改善を後回しにしてきた取締役会は、この条文が想定する検証を正面から問われることになる。