大学卒優位は本当? 高校卒との差は想像ほど大きくない
大学卒と高校卒では生涯賃金に差が出る、という話はよく聞く。では、定年退職金に学歴はどの程度影響するのだろうか。
調査結果によれば、定年時に勤続35年の場合、大学卒の定年退職金の平均額は約1941万円である。一方、高校卒は約1331万円にとどまり、大学卒の約69%に相当する。製造業ではその差がさらに大きく、大学卒が約2232万円であるのに対し、高校卒は約1153万円と、ほぼ半額であった。
しかし、満勤勤続の場合を見ると、大学卒が約2135万円であるのに対し、高校卒は約2029万円で、大学卒の約95%に達している(調査産業計)。つまり新卒で企業に入社し、定年まで勤め上げた場合、定年退職金に関しては学歴による差はそれほど大きくないといえそうだ。
一方で、高校卒の勤続35年時点の退職金は、満勤勤続時の約66%にとどまる(勤続35年:約1331万円、満勤勤続:約2029万円)。これに対し、大学卒では約91%(勤続35年:約1941万円、満勤勤続:約2135万円)となっている。さらに製造業の大学卒では、勤続35年時点で約2232万円、満勤勤続で約2276万円と、その割合は約98%に達する。
もちろん、勤続35年時点の年齢差などを考慮する必要はあるが、それを踏まえても両者の差はかなり大きい。
勤続年数、学歴別定年退職者の平均退職金額(男性)
調査結果からは退職理由が退職金額に大きな影響を及ぼすことがわかった。その背景には、優遇措置の有無や就業規則における扱いの違いだけでなく、対象となる従業員の年齢層の違いなどもありそうだ。ところで、退職理由によって変わるお金の話としては、退職金以外に失業保険も挙げられる。こちらも一般的には、会社都合退職のほうが長期間受給できる。転職など自己都合で退職する際には注意が必要だ。
●気になる勤続年数別の退職金については後編「退職金の「爆伸び期」は勤続何年目? 「勤続5年で129万円→勤続25年では幾らに?」“退職金調査データ”が明かす実状」にて詳報する。
調査概要 調査名:令和7年賃金事情等総合調査 調査主体:厚生労働省中央労働委員会 調査実施期間:2025年8月4日~9月12日 調査対象企業:380 社(資本金5億円以上かつ労働者1000人以上)、うち回答企業数 207 社(回収率54.5%)

