「vary」の開始で明確になったリテールビジネスの全体像

顧客の「将来」を見据えた「ゴールベース型トータルライフコンサルティング」が成果をあげている一方で、顧客の「今」、日常生活における接点の増加、関係性の深化は途上であり、それがFFGの次の課題になっていた。そこで2026年1月に打ち出した新たな施策が、「vary(バリー)」のスタートだ。これは全4コースの会員制「バリープログラム」と、「ポイントアップ対象店」と呼ばれる店舗で利用すると最大20%のポイント還元を受けられるクレジットカード「バリーカード」を組み合わせた新たな金融サービスのことである(図2参照)。

 

varyを始めた背景には、「足元で銀行の競争原理が変わってきていることがある」と古澤氏。「特に決済の領域においては、金融機関以外の競合もひしめき、支払いの利便性、ポイントなどのお得感、手続きがサクサク進むというお手軽感などが重視されています。決済は最も頻度の高い金融行動ですから、ここを起点にお客さまとの関係性を深められれば、総合取引の実現につながると考えたのです」

もっとも、ポイントを組み合わせた決済サービスについては、すでに複数の経済圏が広く普及しているのは周知の通り。FFGはあえてそこに挑んだことになるが、活路はやはり地域密着にあるのだろう。varyで獲得できるポイントは「myCoin(マイコイン)」と呼ばれるFFG独自のもので、前述のポイントアップ対象店のうち「対象店PLUS」と呼ばれるところは、いずれも九州にゆかりのあるブランドや交通系のサービス。象徴的なのは福岡市地下鉄で、長崎県を発祥とする「リンガーハット」、運営会社の本社が福岡県にある「資さんうどん」などもイメージしやすいのではないだろうか。

このvaryの立ち上げに中心メンバーとして関わってきた竹内氏は、「myCoinを預金に移すのは簡単で、他のポイントへの移行もできますから、利便性は非常に高いと自負しています」と話す。「『対象店PLUS』は地下鉄をはじめ、近所のスーパーやお弁当屋さんといった生活導線に根差したところがほとんどです。『九州圏で生活するのであれば、最もお得なのはvaryである』そう思っていただけることを目指して開発したサービスであり、今後もさらなる接点強化を図り、少しでもFFGのことを思い出していただける機会を増やしていきたいと考えています」

加えて、varyには地域経済の活性化という狙いもあり、それは地域金融機関としての使命だと古澤氏は強調する。「お得で便利な機能を通して、個人のお客さまに豊かな生活を提供する。そして消費活動が活発になれば、地域の事業者の売上増加に、ひいては地域の産業振興につながる。その結果、個人のお客さまとも法人のお客さまとも取引が拡大し、そこから生まれる収益を、さらなる『お得』の原資へと再還元する。この一連の流れが循環し続けること、つまりは個人のお客さま、法人のお客さま、FFGが『三方良し』となることこそがvaryの本質だと言えるでしょう」

varyのスタートから2カ月ほどが経過した3月末時点で、バリーカードの申し込みは福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行を合わせて約9万件。これは「想定を上回るペース」(竹内氏)とのことで、出足は好調と言っていいだろう。「投信のパレット」を中心にした資産形成への支援、「FFGのライフキャンバス」「i-navi」によるコンサルティング、そして「vary」による日常の決済という3つがそろったことで、顧客の「将来」と「今」の双方に対する一体的な価値提供が可能となった。それがFFGのリテールビジネスの新たな体系、全体像である。

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「いま地域金融機関に求められているのは、単なる資金仲介機能を越え、『地域の価値創造にどう貢献するか』という視点です。そのために、お客さま一人ひとりの課題に向き合うのと併せて、地域全体を俯瞰し、金融・非金融の両面から価値を提供していく必要があります」(古澤氏)。

ここで言う地域には、ネットを通じて結びつくコミュニティも含まれる。「その全てのステークホルダーに経済的・物質的・精神的にも豊かな状態を実感していただくため、これからも持続的な地域の成長に貢献していきたいと考えています」。最後に古澤氏は、そう締めくくってくれた。それはまた、FFGが掲げる理念体系のうち、存在意義に位置付けられている「一歩先を行く発想で、地域に真のゆたかさを。」の体現でもある。