地方銀行の9月の売れ筋は、8月と大きな違いはなかったが、米国ハイテク株ファンドや半導体関連株ファンド、インド株ファンドが前月に引き続き順位を落とし、国内高配当株ファンドやバリュー株ファンド、グローバルバランスファンドなどが順位を上げた。北洋銀行で7月にトップだった「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」は前月に第2位に後退し、9月は第5位にまで下がった。福岡銀行で7月にトップだった「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は前月の第3位から第4位に後退した。代わって、北洋銀行では「のむラップ・ファンド」が順位を上げ、福岡銀行では「三井住友・配当フォーカスオープン」が第3位に浮上した。また、千葉銀行では「グローバル・バリュー・オープン」が第5位にランクインし、広島銀行では「世界経済インデックスファンド」がトップになった。

ネット販売では国内株式インデックスファンドの選好が一段と進んだ。千葉銀行のトップに「eMAXIS TOPIXインデックス」が前月の第2位から浮上して「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」と順位を入れ替えた。米国株式「S&P500」連動のインデックスファンドは北洋銀行で第3位、千葉銀行で第4位、福岡銀行で第3位に残っているものの、広島銀行では米国株ファンドがトップ5から姿を消し、国内株ファンドだけになった。また、国内株式インデックスファンドでは、北洋銀行と福岡銀行で「JPX日経400」連動ファンドが、それぞれ第5位にランクインした。

出所)各行の公表データにより編集部作成
※赤色部分が本文中で取り上げた主な動き

 

◆米国株ファンドは利益確定でランクダウン?

地方銀行の売れ筋ランキングで月を追ってランクダウンしている米国株ファンドは、今年の年初から徐々にパフォーマンスが悪化している。「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」は、今年1-3月のトータルリターンは17.63%だったが、4-6月は13.21%、7-9月はマイナス11.55%だった。「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は、1-3月が40.50%と非常に大きな収益になったものの、4-6月は24.46%となり、7-9月にはマイナス15.11%と、こちらも第3四半期はマイナスのパフォーマンスになっている。

この1-3月に非常に好調だったパフォーマンスが、4-6月に鈍り、7-9月にはマイナスに転じてしまうというのは、米国株インデックスにもいえる。「eMAXIS Slim 米株式(S&P500)」のパフォーマンスは、1-3月に17.62%、4-6月に11.31%、7-9月はマイナス7.01%という成績になっている。時の経過とともに、パフォーマンスが悪化していく実態と向き合えば、強気の態度をとり続けることは難しいだろう。まして、米国株式は「S&P500」や「NYダウ」など主要インデックスは9月下旬には史上最高値を更新している。運用成績が頭打ちになってきていることを感じれば、株価が高いうちに利益を確定しておこうという気持ちにもなるだろう。