4月の全国CPI(生鮮食品除く)は前年比1.4%、ガソリン補助金等なければ2.8%~
こうした原油需給のひっ迫は物価押し上げにつながります。これも先週のレポートで指摘したことですが、すでにわが国の川上物価である輸入物価と川中物価である国内企業物価には原油相場高騰の影響が明確に表れています。4月の輸入物価(円ベース)は前年比17.5%まで跳ね上がり、国内企業物価も同4.9%と3月から2%ポイント上振れました。
先週22日には川下物価である全国消費者物価の4月の結果も発表となり、生鮮食品除く総合指数は前年比1.4%と、3月の1.8%から伸び率を縮小させました(図表4)。このように、川上、川中物価とはかなり違った様相を呈していますが、これはガソリン補助金などの物価高対策や高校授業料無償化の影響が背景にあります。
<図表4 全国消費者物価指数の前年比>
注:「交通・通信」は「ガソリン」を除く
出所:総務省、楽天証券経済研究所作成
ガソリン補助金などの物価高対策の影響は4月の全体の伸びに対する寄与度で約1.3%ポイントあり、それがなければ「エネルギー」の前年比はマイナス3.9%ではなくプラス12.6%、生鮮食品除く総合指数の前年比は1.4%ではなく2.8%だった計算になります。加えて、高校授業料無償化の影響まで除くと前年比は3.0%になっていたかもしれません。
物価上振れが消費マインド押し下げに~景気ウォッチャー調査が下振れ~
こうした物価上振れはすでに消費マインドに大きな影響を及ぼしています。
5月13日に内閣府が公表した4月の景気ウォッチャー調査を見ると(図表5)、家計動向関連の現状判断DI(季節調整値)が40.5と、3月調査からマイナス1.4ポイントの悪化となりました。イラン情勢が悪化する前の2月調査と比べるとマイナス8.3ポイントの大幅悪化となっています。
<図表5 景気ウォッチャー調査と賃金>
この間、名目賃金は前年比プラス幅を拡大させています。景気ウォッチャー調査は、タクシー運転手や小売店の店員など事業所側の人々を対象とした調査であり、売り上げや収益に左右されやすく、どちらかといえば実質賃金より名目賃金と連動する傾向があります。
しかし、イラン情勢が悪化して以降は、名目賃金が上昇しているにもかかわらずDIが急落しており、原材料高といったコストプッシュが企業収益を圧迫するなかで、物価上振れに伴う消費者側のマインド悪化と相まって、DIの大幅悪化につながっている可能性があります。
こうした環境のもとで日銀が6月利上げを行うかどうかはかなり難しい判断になりますが、円安防止という観点も含め、物価安定を優先させることがより長い目で見て持続的な経済成長に資するということを、日銀は丁寧に説明していくしかありません。
