株高には一定の裏付けがある

製造業PMIを地域別にみると、日本は55.1へと3.5pt上昇した。半導体関連製品の引き合いが強いなか、化学業界などで石油関連製品の供給制約に対する懸念から製品在庫の積み増しを急いだ可能性が浮かび上がる。他方、国内では個人消費の増勢が鈍化している。日銀が算出する実質消費活動指数は、物価高の影響などから横ばいで推移している。この間、IT関連財の生産集積地である台湾は55.3へと2.0pt上昇。輸出統計との方向感相違は解消に向かっており、景況感の回復は広がりをみせている。韓国は53.6へと1.0pt上昇。半導体関連価格が急騰するなか、大手メーカーが増産を急いでいることから、その波及効果が窺われる。

 

米国は54.5へと2.2pt上昇。米国内におけるAI関連投資が隆盛を極めるなか、その恩恵が広がりを持ちつつあることを示唆している。データセンター投資は半導体に限らず建設、発送電、冷却装置といった業種に波及効果をもたらす。4月は自動車販売台数が1,592万台(年換算)と好調であった。労働市場の一方的な悪化が回避されるなか、個人消費は底堅く推移している。ユーロ圏は52.2へと0.6pt上昇した。ドイツが51.4、フランスは52.8と双方とも50を上回って推移している。

 

 

中国は52.2へと1.4pt上昇した。既往の不動産市況悪化とトランプ関税対策として、中国当局は景気対策を強化しており、一段の減速は回避されている。中国当局の政策態度を映じるとされるマネー関連統計に目を向けると、3月の社会融資総量(新規フローの12ヶ月平均値)は前月比▲1.9%と減少し、残高は前年比+7.9%へと減速した。新規融資のGDP比(前年差)をとった通称クレジットインパルスも▲2.2ptと下を向いた。この指標が日本株の先行指標として機能してきた経緯を踏まえると、現在の株高は一定の裏付けを伴っていると言えるが、風向きは悪くなっている。

 

工作機械受注サイクルの位置取りを確認するために、縦軸に受注額の水準(36ヶ月平均値からの乖離)、横軸に方向感(6ヶ月前比)をとった循環図をみると、2025年央までは中心点付近で小さな渦を描いてきたが、過去数か月は右上領域に向けてはっきりと歩み出した。過去の経験則に従うなら今後も右上方向に進路をとると予想され、回復傾向がはっきりとしてくるだろう。半導体需要に裏打ちされた設備投資は、今後しばらくは増勢を強めると予想される。もっとも、循環図が左方向に進む頃に、相場は下降局面を織り込みにいくのが過去の経験則である。シリコンサイクルが何合目に位置するのか、その目安を探る意味でもこの指標を定点観測していく必要があろう。