イオン提携という「非対称な取引」が深めた疑念

ガバナンスへの疑念を決定づけた出来事がもう一つある。2024年10月に発表された、イオンとの約150億円の資本提携だ。 通常の資本提携であれば、双方が適正と判断する評価額で株式が交換される。ところがこの取引には、下図のようなバリュエーションの非対称性が存在した。

 

自社の割安な株式を相手に渡し、相手の割高な株式を引き受ける取引は、既存株主の利益を毀損するリスクがある。京成側は不動産開発を通じた事業ポートフォリオの強化と説明するが、これに対しパリサーは、商業的利益がなく、アクティビストに対抗して「物言わぬ友好的な株主」の票を固めるための不合理な株式持ち合いだと批判した。コーポレートガバナンス・コードが政策保有株式の縮減を求めている市場環境下において、この取引は現状維持を優先したとも受け取られかねない一手と見られたのであろう。

個人投資家として何を見るべきか 

京成電鉄とアクティビストの攻防が残した教訓を3点に絞ると、以下のとおりだ。 

・好財務(巨大な含み益)の中身を見る
・中計は「具体的な資本配分」を見る
・資本提携からガバナンスの課題を見つけ出す

「含み益が大きく、PBRが低い」という理由で企業に投資をする際、個人投資家が確認すべきポイントは3つある。①保有資産を除いた本業の真のROE・PBRはどのくらいか、②経営陣の報酬体系に株価連動のインセンティブはあるか、③M&Aや資本提携における取得価格に非対称性はないか——この視点を持つことが、アクティビストの視点から銘柄を見抜くヒントにつながる。