資産寿命を延ばす! 元本確保型と投資信託で比較

井出 受取後もできるだけ資産寿命を延ばしたいですから、取り崩しについて考えましょう。iDeCoを年金で受け取る前提で資産を元本確保型の商品に移す場合と、投資信託で運用する場合で比べます。仮に前者を0.1%、後者を3%の運用利回りとして元本1069万円を20年間均等で受け取る例で考えます。

3%で運用できた場合、85歳時点で約456万円残る計算になります。0.1%の場合は0円です。毎月同額、つまり4万5000円ずつ取り崩したとして、運用の有無によってこれだけの差が出るという一例です。

米子 3%で運用できるかは分かりませんよね。受け取り始めた直後に経済ショックが来たらどうすればいいのでしょうか。

井出 確かに、タイミングは誰にも読めません。だからこそ大事なのは分散投資なのです。一気に大きくマイナスになるような偏った運用は避ける必要があります。

蘭丸 偏った運用、というと?

井出 例えば、DCのラインアップにはないかもしれませんが、世界的な大手IT株式だけの投資信託に集中投資するようなケースです。IT株が軒並み下がったとき、一気にダメージを受けてしまいますよね。

蘭丸 なるほど。一つのカゴに卵を盛らないという格言ですね。

井出 まさにそのとおりです! 株式と債券、あるいはREITや金などにも分散投資をしてある程度のリターンを稼ぎながらブレの少ない運用を行いつつ取り崩していく、と。

蘭丸 ところで3%のリターンが目指せそうな商品と考えると…。バランスファンドでも3%はやや高いのでは?

井出 株式型と債券型の投資信託を組み合わせて、トータルのリターンで考える方法もあります。運用しながら受け取る以上、投資する運用商品が目指す利回りが期待できそうかを確認することやリスク管理の知識は必要ですが、必要以上に恐れず、期待しすぎず、ということですね。

米子 よく、「一時金か年金か、どちらがお得か」と話題になりますが、実際はお得かどうかは人によって違うと思うんです。

井出 一時金が税金面で有利と聞いても、定期預金に置いたままインフレで目減りさせてしまうケースもあります。それを知らないのと、納得した上でそうするのとでは全く意味が違いますよね。

蘭丸 一時金で受け取ったら金融機関から連絡があって、運用してみたら思わしくなかった、なんてケースも聞きますよね。

井出 一時金でも年金受取でも、自分の意思で選んでいるなら問題ありません。ただ、何となく選んでいる場合は注意が必要です。聞いた情報が確かなのか、自分の考えに合っているのか——判断基準を持つことが大切です。