ブロックチェーンが投資の基盤になる可能性がある
しかし、暗号資産を単なる投資対象とみるのは十分ではないとクロスリー氏は言う。「暗号資産というと、商品の価格変動のみにフォーカスしてしまいがちです。ビットコイン価格の上下がヘッドラインを飾りやすいのは事実ですが、実はそれよりも重要なのがブロックチェーンという技術が投資にもたらすさまざまな効用と将来性です。こちらの方がはるかに大きなインパクトを今後世の中に与えていくと考えており、弊社としてはそこに経営資源を集中させています」(クロスリー氏)。
どのように投資でブロックチェーンが活用されるのか。フランクリン・テンプルトンでは、取引の基盤になるインフラとしてブロックチェーンが活用され、個別の商品がブロックチェーンを介して売買される将来が訪れる可能性があると予測している。具体的には、米国では投資信託をETFに転換する流れが強くなっており、このETFがブロックチェーンによりトークン化されて取引される未来が近いと予想しているのである。
気になるのはそのメリットだ。ETF化により投資信託がリアルタイムで機動的に売買できるようになったが、トークン化は投資にどんな効果をもたらすのか。
クロスリー氏が挙げたのは透明性だ。ブロックチェーンでは、事前にプログラムに仕込んだ契約条件や内容に従い、人の手を介さずに売買する「スマートコントラクト」が活用されている。この技術により取引の手間が軽減されることに加え、ブロックチェーンがインターネットを介して誰にでもアクセス可能であることから、透明性を高め、セキュリティも強固になる。この技術を応用すれば、「NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)の形式で発行されるコンサートのチケットにグッズの割引や優先席があらかじめ組み入れられているように、金融商品にも買い手ごとにサービスを設定可能です。こうした技術の活用が進めば、より個々の投資家のニーズに合致した運用を実現することができるようになります」とクロスリー氏は語った。
また、トークン化される資産が増えれば、今までは個別の口座で管理していた資産を、ウォレットとして一つのシステム上に集約し、一元管理が可能になるという。さらに、資金移動の効率化につながる。「巨額な資金を銀行間で送金するには数日を要していましたが、ブロックチェーンを活用すれば即時で送金可能となります。資金は日々利回りを生み続けるため、この間のロスを防ぎ、資金を有効に活用できるでしょう」(クロスリー氏)。
投資対象としても、技術としても期待が高まる暗号資産は、金融市場や投資環境をどのように変えるのか。今後に注目したい。
