すでに日本でも定着しつつある暗号資産。2028年には上場株式など同じく申告分離課税とする法改正が実施される見込みだという報道があり、今後の動向に注目が集まっている。しかし、暗号資産の可能性は投資対象としてだけでなく、その技術そのものにあるという。

暗号資産やブロックチェーンを活用しトークン化したデジタル資産の運用に積極的に取り組む米国の運用会社、フランクリン・テンプルトンでインダストリー・アドバイザリー・サービス グローバル責任者を務めるロバート・クロスリー氏による講演をもとに、暗号資産の可能性をレポートした。

フランクリン・テンプルトン インダストリー・アドバイザリー・サービス グローバル責任者 ロバート・クロスリー氏

投資対象としての暗号資産

暗号資産は日本でも徐々に浸透してきており、自身や家族、あるいは知人が投資している方も多いのではないだろうか。報道によれば、暗号資産を金融商品の一種に加える法改正が今年の国会で審議され、2028年には同法案が施行される見込みだという。この法改正により、暗号資産で得た利益の税率が最大55%から一律20%へ大幅に引き下げられるほか、暗号資産のETF(上場投資信託)化の解禁などが予定されている。日本での暗号資産の利用がより活発になるだろう。

そんな暗号資産が最も活発に取引されているのが米国だ。米国では、日本より一足先に2010年代から暗号資産に関する法整備が進んでおり、年金基金のような機関投資家が実際に投資する例も出てきている。加えて、確定拠出型年金(DC)で暗号資産を含むオルタナティブ資産への投資が可能になるようトランプ氏が大統領令に署名したことで話題にもなった。

クロスリー氏によれば、リターンが高いというイメージは特に若い世代に定着しており、ある調査では、退職に向けての投資で資産の成長に貢献してくれそうな投資対象は何かという問いに対して、年齢層が高い世代は1位が国内株式(米国株式)、2位が不動産、3位が外国株式(米国外の株式)と回答した一方で、若い世代は1位が不動産、2位がデジタルアセット、3位がプライベート・エクイティと回答したそうだ。

暗号資産が選ばれる理由は、リターンの高さだけではない。フランクリン・テンプルトンの試算では、株式と債券が60:40の比率など米国の伝統的なスタイルで運用している場合、2~5%ほど暗号資産を組み込めばリスク・リターン効率の改善が期待でき、リスク分散の観点からも有効だという。

投資する際の注意点としては、クロスリー氏は「暗号資産と言えばビットコインというように一つの商品・サービスだけを代表して捉えるべきではないでしょう」と指摘する。個々のブロックチェーンは国際分散投資に例えるとそれぞれが別の国のようなもので、使われている技術が異なれば、得意とする分野も違う。そのため、潜在するリスクも暗号資産ごとに別であり、投資する際にはそうした違いを理解した上で行うことが重要になるという。