2人で子育てがしたい…

「あなたが家庭をないがしろにしてるとまでは思わない。ちゃんと私たちのことを思って仕事を頑張ってくれてるし、ひな飾りだって美亜のことを思ってやってくれたのも分かってる」

「……じゃ、じゃあなんであんなに怒ったんだよ?」

「ひな飾りを買ってくる前に、寝かしつけたりご飯の用意したり……親として、夫として、あなたにはもっとやってほしいことがあるの。それを無視して、勝手にあんなに高い買い物してきて、私のこと親としてちゃんとしてないなんて言って、おかしいと思わない?」

佐都子の指摘に思い当たる節があるのだろう。実は固まったまま、しおれた花のようにうつむいていた。

「佐都子さんはあなたを責めたくて私を呼んだわけじゃないのよ。あなたと2人で美亜ちゃんのことを育てていきたいから話をしようとしてるの。家族を守るって言ったって、別にお金を稼ぐことだけじゃないんだから」

里英の言葉に実はハッとして顔を上げ、佐都子の疲れ切った表情を見て眉根を下げた。

「……ごめん。俺、何も分かろうとしてなかった」

「まったく、自分の息子ながら情けなくてがっかり。こんなことで飛行機乗るなんてもう二度とごめんだからね」

ため息を吐いた里英と顔を見合わせる。里英の呆れた表情を見ていると、きっと実はこれから変わってくれるはずだと思うことができた。

   ◇

話し合いの日の夜、美亜の泣き声で目を覚ますと佐都子が起きるよりも先に実がベビーベッドに向かった。

「佐都子は寝てて大丈夫。俺がやるから」

「おむつとか哺乳瓶の場所わかる?」

「大丈夫。なんとかする」

なんとかするって……と思いつつ、佐都子はリビングへ向かう実の背中を見守った。結局不安で眠れないな、と思いながらも佐都子はゆっくりと目を閉じて、明日朝起きたら久しぶりに美容院の予約をしてみようと思った。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。