本社ビル売却で最終益1.8倍 来年も好調が期待できる理由とは

最後に通期の見通しを押さえましょう。先述の調味料・食品およびヘルスケア等は、今期(26年3月期)は通期でも増益の計画です。特にヘルスケア等は前期比4割超と、高い成長が見込まれています。

【各セグメントの予想事業利益(26年3月期)】
・調味料・食品:1426億円(前年同期比+6.3%)
・ヘルスケア等:656億円(同+43.9%)
・冷凍食品:115億円(同-11.5%)
※事業利益…売上高-(売上原価+販売費+研究開発費+一般管理費)+持分法による投資損益
※同第3四半期時点における同社の予想

出所:味の素 決算説明会資料

中核の2事業がそろって成長するため、今期は味の素全体でも成長が加速します。連結の事業利益は前期比13.6%増を計画しており、25年3月期の同7.9%増、および25年3月期までの5年平均増益率9.9%を上回るスピードです。

また、純利益も大幅な増益を計画しています。主因は本社ビルの土地および建物の売却で、譲渡益406億円の計上を予定します。これにより、純利益は前期比85.0%増となる1300億円まで拡大する見通しです。なお、本社ビルの譲渡価額は451億円であり、今後は売却資金の使い道も注目を集めるでしょう。

味の素の連結業績(2016年3月期~2026年3月期)
 
出所:味の素 決算短信より著者作成
 

気になる来期の27年3月期ですが、ヘルスケア等は引き続き成長が期待できそうです。味の素は電子材料が先端品を中心に27年3月期も強い需要が見込まれるという認識であり、25年10月にはABFの新工場を本格稼働させています。AI用途など最先端向けを拡大する計画で、製品構成の改善が想定されます。

調味料・食品は、業務用うまみ調味料は原料市況の悪化が逆風ですが、一方で食品事業全体で見ると原料安はプラス要因でもあると味の素は説明しています。先述のとおり今期の第4四半期は成長が加速する見通しであり、27年3月期も増勢に期待したいところです。

なお、味の素は長期経営計画「2030ロードマップ」に取り組んでおり、その中間フェーズは26年3月期に終了します。「挑戦的目標」として設定した指標はおおむね達成見込みであり、今期の本決算では目標の上方修正に踏み込むかもしれません。

上方修正となれば、株価には追い風となりそうです。本決算は例年5月上旬に公表されています。