<前編のあらすじ>

娘・愛理あてにカード会社から督促状が届く。敦美は愛理の部屋で同様の封筒を発見し、中を確認すると請求額は約18万円。口座振替ができず、遅延損害金の警告も記載されていた。

愛理を問い詰めると、使い道は推し活だと判明。チケットや遠征、グッズ購入などで、明細を確認すると、複数の分割払いとサブスク決済がずらりと並んでいた。

さらに敦美が大学の様子を尋ねると、愛理は単位を複数落としていることを告白。敦美は娘の管理能力の欠如に言葉を失い、夫の帰宅を待って3人で話し合うことを決めた。

●前編【「うるさい」と反発する娘の机に置かれた18万円の督促状…親子で決めた“自己管理”が招いた大学3年生のカード地獄

夫を交えた家族会議の始まり

夫の孝介が帰ってきたのは、7時を少し過ぎたころだった。玄関で靴を揃える音、上着を掛ける音が聞こえる。敦美は湯を沸かす手を止め、ダイニングに戻った。

「ただいま」

「おかえり」

テーブルには封筒と通知書が並んでいる。開封済みのものと、今日届いた封筒から取り出した督促状。孝介はそれを一目見て、椅子を引いた。

「何があったの」

「愛理、自分で説明しなさい」

敦美が促すと、愛理は重い口を開いた。

カード会社から督促状が届いていたこと。請求額は18万円で、支払期限が近いこと。遅れると遅延損害金が発生するという記載があること。

「使い道は?」

「いろいろ……」

「推し活に使ったんだって」

孝介は紙に目を通し、文面に眉をひそめた。それでも声を荒らげはしない。敦美はその冷静さに、少し気持ちが落ち着くのを感じた。呆れているのは確かだが、感情だけで押し切れば、愛理は心を閉ざすからだ。

「……もう1つ大事なことがあるよね、愛理」

愛理が視線を逸らす。孝介は彼女の方へ体を向けた。

「きちんと話してくれ」

「大学の単位、結構やばい」

「どのくらい落としてるんだ」

「後期も何個か落とした」

「“何個か”じゃ分からない。卒業に関わるぞ」

「分かってるけど……」

それきり愛理は口をつぐんだ。孝介は言い方を変えた。

「このままの状態を続けて、困るのは誰だ?」

「……私」

「そうだ。俺たちが怒るかどうかじゃない。督促を放置すれば信用に傷がつくし、単位を落とせば、卒業が遅れる。将来、選べる道が減るんだ」

愛理が、小さく反発する。

「将来のことなら、私なりに考えてるし」

「考えてるなら、言葉にしてみなさい。今のままじゃ、その考えも実行できないよ」

沈黙が落ちる。