考え方によっては、「変動金利型10年物は買わないほうがいい」場合も

では、本当に変動金利型10年物を選んだほうが有利なのでしょうか。ここはしっかり考えたほうが良いでしょう。

まず、変動金利型10年物の適用利率の算出式をもう一度、見直してみて下さい。「基準金利×0.66」です。

この計算式を変形して、基準金利が何%になると、変動金利型10年物の適用利率が、固定金利型5年物と同じ年1.59%になるのかを計算してみましょう。これは1.59%を0.66で割れば求められます。すると、2.409%という数字が求められます。つまり長期金利の水準が2.409%まで上昇した時点で、変動金利型10年物と固定金利型5年物の収益性がイーブンになるのです。

1月15日時点の長期金利の水準は、2.155%です。これがこの先、2.4%台まで上昇すると読むならば、変動金利型10年物の選択は正しいし、おそらくそのくらいまでは上昇するでしょう。特に高市政権のもとで衆院解散が行われ、自民党が勝利して単独過半数を獲得するような事態になれば、財政懸念から長期国債が売られ、もう一段、長期金利の水準は押し上げられます。

そこで、改めて考えてもらいたいのは、変動金利型の償還までの期間が10年であることと、まさに変動金利型であるという点です。

変動金利型は、確かに今のように長期金利が上昇する局面においては、適用利率が引き上げられるため、一見すると有利な運用対象であるかのように見えます。

でも、金利上昇局面で収益が改善していく変動金利型は、逆に金利低下局面では収益が悪化していきます。

しかも、変動金利型の償還までの期間は10年もあります。これから10年先の途中まで、長期金利が上昇し続け、しかも償還を迎える時まで長期金利が高止まりすれば、変動金利型10年物による運用成果は、非常に高くなりますが、今後10年にわたって長期金利が高止まりするようなことになるでしょうか。

長期金利は景気サイクルによって上下します。今は株価も上昇局面にあり、企業業績も悪くなく、かつ物価水準も高いため、長期金利は上昇しているわけですが、今の経済環境が10年先まで続くかというと、それはいささか疑問です。

古典的な考え方なので、今の時代にどこまで通じるか分かりませんが、一般的に景気サイクルで最も短いのが、企業の在庫調整に伴うもので、3~4年で1サイクルの景気循環を描きます。今は景気が改善され、長期金利は上昇の途上かも知れませんが、どこまで景気がピークを打ち、景気後退局面から不況期へと移っていけば、それに伴って長期金利は低下していきます。今後10年先まで好景気が続くよりも、それまでの間に景気が後退して、長期金利は低下すると考えるほうが、より現実的です。

景気サイクルを考慮すると、むしろ今は変動金利型10年物の個人向け国債を買わずに、長期金利の水準が上昇していくのを静観し、長期金利がピークを付けたと思われるところで固定金利型5年物を買ったほうが良いと考えられます。