<前編のあらすじ>
48歳の光子は、習慣的に買っていた宝くじが3000万円に当選したことを知り、夫の泰と喜びを分かち合う。
使い道は決まらず、光子は将来のために残すことを提案。泰も了承し、誰にも言わないことを約束する。
ところが、義母の春枝が突然訪ねてきた。泰が秘密を漏らしたのだ。春枝は家のリフォームや介護用ベッドの購入を求め、光子は戸惑う。断ろうとすると春枝は不満をあらわにし、2人の関係に亀裂が入る。
●前編【「誰にも言わないで」と夫に念押ししたのに…宝くじ3000万円当選のあと義母が我が家を訪れた"本当の理由"】
約束を破った夫に憤る光子
その日の夜に光子は泰に対していらだちをぶつける。
「なんでお義母さんに言ったの? 誰にも言わないでって約束したよね?」
泰は驚いた顔をする。
「え? 母さんもダメだったの?」
「誰にも、って言ったはずよ……!」
「ああ、悪い悪い。家族は別にいいのかなって思ったんだよ」
軽い謝罪をする泰に光子はため息をつく。
「おかげでお義母さんと喧嘩になっちゃったじゃない……!」
「喧嘩? どうしたんだよ?」
光子は春枝が家にやってきたことを説明する。
「へえ、母さんがそんなお願いに来るなんて珍しいよな」
「いきなり、リフォームとかベッドを買い替えたいとか言われてさ、さすがに常識がなさ過ぎるというか……」
「まあでも、そんだけ金があるのなら別にいいんじゃないか?」
「そのお金があるからっていう感覚がさ……。お金はお金でしょ。当たり前のようにリフォームしてくれとかそんなことを言われたら戸惑うって。それでちょっと言い返したらお義母さんが怒っちゃって……」
「ああ、それで喧嘩になったんだ」
「だからさ、あなたからそれとなく話をしておいてよ。お金の使い道に関してはこれから考えるからって。それで気を悪くしないでほしいってさ」
「いや別に母さんだってそれくらいは分かってるよ。ちょっと思った通りにいかなくてすねただけだろ? いちいち説明しなくても分かってくれるって」
泰はそれだけ言って結局何も行動を起こしてはくれなかった。
