競争優位性はグリーンテクノロジー投資にあり
米国以外の地域でも米国の政策に起因する複雑な課題に直面している。例えば米国が海外の防衛費を削減する方針を示しているため、日本や欧州諸国は自国の防衛費の増額を迫られている。また米国の関税政策は世界の貿易に混乱をもたらし、特に欧州最大の輸出国であるドイツから米国への輸出が急減するなど、各国は独自のサプライチェーン確保と技術投資を行う必要があるだろう。こうした貿易摩擦は経済の分断化を招き、海外投資家による米国金融資産へのエクスポージャーが減少しているというデータもある。
世界共通の課題である気候変動は新しいグリーンテクノロジーへの投資と脱炭素化を促す主要因であり、グリーンエネルギーに大規模投資を行っている国や地域は将来的に競争上の優位性を獲得するだろう。特に中国や欧州の一部の国々におけるグリーンテクノロジーへの取り組みに注目している。
欧州経済についてはポジティブに見ている。欧州中央銀行(ECB)はすでに政策金利を2%にまで引き下げ、この水準を当面維持する見込みだ。
欧州経済の成長率は約1%と景気循環的には軟調だが、構造的な楽観要素がある。最も重要なのはドイツ政府が国防費とインフラ投資を拡大すると発表したことだ。この投資は今後10年間で総額約1兆ユーロにのぼり、ドイツ国内だけでなく欧州全体にプラスの波及効果をもたらすだろう。欧州企業の景況感については収益改善や投資拡大計画を背景に楽観的な見方を維持している。
●投資妙味のあるセクターは? 後編「2026年、注目のアセットクラスは? 債券・株式市場の展望ー投資家が注視すべきリスクと機会に迫る」にて詳報する。
