米国では第2次トランプ政権が発足し、自国第一主義で世界を翻弄。日本では高市早苗氏が女性初となる内閣総理大臣に就任、日経平均株価は初の5万円を突破し史上最高値を更新―。2025年は国内外で政治・経済ともにエポックメーキングとなる出来事が相次いだ。世界を覆う地政学的な緊張や台頭する保護主義政策に象徴されるように、激しい変化が将来の不確実性を高めている。資産運用を取り巻く環境はどう変わるのか。世界的な保険大手アクサグループの資産運用会社、アクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサIM)のコア・インベストメント最高投資責任者(CIO)兼アクサIM資産運用研究所議長を務めるクリス・アイゴー氏が2026年の世界経済の見通しおよび注目の資産クラスなどについて語る(前編)。
2026年の世界経済はリセッション回避も成長はトレンド未満
2026年のグローバル経済は景気後退(リセッション)に陥ることなく、プラス成長を継続すると見込んでいる。しかしながらその成長率は過去のトレンドを下回るだろう。景気サイクルは過去5年間の影響を受けている。コロナ・パンデミックによる需給の不均衡、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーショックは欧州中心に多大な影響を与え続けてきた。
米国をはじめとする主要国の中央銀行は大幅な利上げという金融引き締め策を実施した一方で、トランプ政権による関税引き上げなど世界的に保護主義の台頭が目覚ましい。米国ではインフレ目標を上回る状況が続き中央銀行は利下げに慎重にならざるを得ない状況にある。世界経済は歴史的なトレンドを下回る力強さに欠ける成長が続くと予測され、投資家には景気循環と構造的なテーマを分けて考えることが求められる。
