個人年収が高いほどフィンテックを利用 

調査では回答者の年収も併せて聞いているが、その結果、ロボ・アドバイザー、暗号資産、セキュリティ・トークンについて、個人年収が高いほどすでに利用している割合が高いことが分かった。例えば、暗号資産は個人年収1000万円以上の人は20.9%がすでに利用しているが、300万円未満の人は6.2%となっている。

一方で、暗号資産については利用したくないという回答は63.1%と、他のフィンテックサービスと比べて最も高い結果となった。次点のセキュリティ・トークン(45.0%)を20ポイント近く上回っており、群を抜いていることが分かる。30代以下では暗号資産を既に利用しているとの回答が20.3%と高いものの、全体で見ると賛否両論のようだ。

なお、AI(人工知能)を活用した投資アドバイスや資産運用を提供するロボ・アドバイザーについて、気になる点は「利用したくない」という回答が増加傾向にあることだ。2023年の40.3%から2025年は44.1%と徐々に増えている。

また、ブロックチェーン技術を用いたデジタル証券のセキュリティ・トークンは2024年から調査項目に加わった。2025年時点では「利用したくない」が45.0%、「わからない」が38.8%と、まだ認知度が低いようだ。ただし30代以下では、「既に利用している」が5.3%、「利用してみたい」が21.9%と、全体平均を大きく上回る関心を示している。

クラウドファンディングは、既に利用しているが5.5%、利用してみたいが20.3%で合計25.8%とロボ・アドバイザーに次いで2番目に関心が高い。

傾向は2023年からほとんど変化しておらず、安定している。若い世代ほど利用率が高く、30代以下では既に利用しているが8.7%、利用してみたいが28.3%となっている。

調査結果から見るとフィンテックサービスはまだ普及途上だが、若い層を中心に利用が広がっていることが分かる。特に暗号資産やロボ・アドバイザー、クラウドファンディングといったサービスは、30代以下では一定の普及が進んでいる。一方で全体的には、「利用したくない」「わからない」という回答も多い。仕組みを分かりやすく伝えることや、信頼性を高めることが今後の課題だろう。

●非上場株式に興味がある個人投資家はどのくらい? 最も投資しているのは意外な…。後編「【個人投資家5000人調査】「年収が高い」ほどプライベートアセットへ投資している? なぜなのか」にて詳報している。

調査概要 調査名:「個人投資家の証券投資に関する意識調査」 調査主体:日本証券業協会 調査報告書公表:2025年9月 調査実施期間:2025年4月15日~19日 調査対象:日本全国の18 歳以上の有価証券保有者5000 人