年収が高いとリスクもとりやすい?

金融資産の中で、そのうち株式や投資信託などの有価証券はどのくらいを占めるのだろうか。

有価証券の保有額(個人)

 

出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)よりFinasee編集部作成

【年収300万円未満】有価証券の保有額ランキング
1位 100万~300万円未満 18.1%
2位 50万~100万円未満 14.3%
3位 10万円未満 13.4%
4位 10万~50万円未満 12.2%
5位 300万~500万円未満 11.9%
6位 500万~1000万円未満 11.7%
7位 1000万~3000万円未満 11.2%
8位 5000万円以上 3.7%
9位 3000万~5000万円未満 3.5%

出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)よりFinasee編集部作成

株や投資信託など、運用成績によっては投資開始時より資金が減ってしまう「元本割れ」のリスクを伴う有価証券。預貯金に比べると気軽に運用できるものではないが、年収300万円未満の個人投資家はいくら持っているのだろうか。

調査結果から回答率1位は「100万~300万円未満」で18.1%。2位は「50万~100万円未満」(14.3%)、3位は「10万円未満」(13.4%)と続く。前述の金融資産保有額の回答率1位が「1000万~3000万円未満」だったことを考えると、有価証券は10分の1程度と少なく、おおむね年収に収まる水準だ。また平均保有額は約770万円で、全体(約1050万円)に比べて280万円ほど少なかった。

ところで、金融資産に占める有価証券の割合でみるとどうだろうか。年収別の平均保有額をもとに有価証券の割合を算出してみると、年収300万円未満は約55%だった。年収が増えるにつれて割合は上がり、年収1000万円以上では約70%に達する。やはり年収が高く生活に余裕があると投資のリスクも許容しやすいのかもしれない。

物価上昇で投資が当たり前の時代に 

年収300万円未満の個人投資家が持っている金融資産と有価証券。保有額の最多回答率はそれぞれ「1000万~3000万円未満」、「100万~300万円未満」だった。

かつて投資といえばお金持ちが行う特別なものという印象もあった。しかし2022年以降、消費者物価指数は前年同月比で2%を超える状態が続いている 。物価上昇が続けば、同じ金額でも購入できる商品やサービスの量が減ってしまい、預貯金だけでは資産が目減りしてしまうことになる。実質的な価値の目減りを防ぐためにも、年収に関係なく投資は資産防衛の必須手段になりつつあるのかもしれない。

●年収帯の近い人々とはどう違うのだろうか。後編「【投資家・年収300万~500万円未満】金融資産保有額ランキング  年収10倍の資産をもつ人もいる?」にて詳報する。

調査概要 調査名:「個人投資家の証券投資に関する意識調査」 調査主体:日本証券業協会 調査報告書公表:2025年9月 調査実施期間:2025年4月15日~19日 調査対象:日本全国の 18 歳以上の有価証券保有者 5000 人