金融知識が高い人ほど保有資産額が多い傾向に

前述のとおり調査では金融知識を「高・中・低」の3グループに分け、それぞれの平均年収と金融資産平均保有額の関係を調べている。

金融に関する知識と金融資産保有額、年収(いずれも平均値)

金融に関する知識と金融資産保有額、年収(いずれも平均値)
 
出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)よりFinasee編集部作成
 

上の図では、円の大きさで該当者の割合を示している。結果を読み取ると、金融知識が「高」のグループは平均年収が約490万円、金融資産平均保有額は約2200万円の付近に分布していることが分かる。

対して金融知識が「中」のグループは平均年収が約420万円、金融資産平均保有額は約1600万円の付近に集まっている。金融知識が「低」のグループは平均年収が約415万円、金融資産平均保有額は約1200万円の付近にかたまりとなっている。前述どおり、円の大きさが該当者の割合を示すため、金融知識が「中」のグループが主流となっていそうだ。

ただし、年収についての解釈には注意が必要だ。調査対象者には現役を退いたシニア層も含まれる。そのため現在の年収が主に年金である場合など、現役時代と比べて年収が下がっている可能性がある。その点は考慮すべきだろう。

株式の保有額も金融知識と連動

さらに株式を持っている人だけに絞ってみても同じ傾向が見られる。つまり、金融知識が高いほど株式の平均保有額も高いという結果が出ている。

具体的には、金融知識が「高」のグループの株式の平均保有額は約1200万円、「中」のグループは約750万円、「低」のグループは約450万円の付近に該当者が集まっており、最も金融知識が高いグループと最も低いグループとでは、株式の保有額に約3倍もの開きがあるように読み取れる。

この結果から金融知識の差は単に資産の総額だけでなく、どんな資産に投資するかという選択にも影響している可能性がある。金融知識が高い人ほど株式をはじめとしたリスク資産への投資比率が高く、結果として資産形成に差が出ているのかもしれない。

調査結果からは、金融知識を高めることで資産形成に良い影響を与える可能性が見えてきた。金融について調べる過程で、効率的な投資判断や資産配分を行えるようになり、結果として資産を増やすことにつながっている側面もあるだろう。

●気になる後編「【データが語る】お金の知識がある人はどんな投資をしている? 共通点と傾向を徹底解説」にて詳報している。

調査概要 調査名:「個人投資家の証券投資に関する意識調査」 調査主体:日本証券業協会 調査報告書公表:2025年9月 調査実施期間:2025年4月15日~19日 調査対象:日本全国の18 歳以上の有価証券保有者5000 人