保険の場合

iDeCoで保険商品を運用する場合、預金と同様、資産は「商品提供機関」に預けられる。こちらも元本確保型といいつつ、破たん時には原則一定額までしか保護されない。保険商品によって補償の内容が異なる。

まず生命保険会社が提供する保険商品の場合、生命保険契約者保護機構によって一つの金融機関当たり、破たん時点の責任準備金の90%までは原則保護される(残り10%については破たんした金融機関の財産状況などによって決定)。なお責任準備金とは、生命保険会社が将来の給付の支払いに備えて、掛金の一部を積立しているものだ。 

また損害保険会社が提供する保険商品の場合は、損害保険契約者保護機構によって保険金・返戻金の90%まで原則保護される(残り10%については破たんした金融機関の財産状況などによって決定)。 

このようにiDeCoで運用する保険商品については、それぞれ資産の預け先と保護(補償)される金額が異なる。

投資初心者のなかには元本割れのリスクがある投資信託を避けて、できるだけ元本確保型の商品で運用したいと考える人もいるかもしれない。しかし、元本確保型に該当する預貯金・保険商品はiDeCoの金融機関が破たんした際に補償される金額に上限があることは覚えておいてほしい。

iDeCo口座を作った証券会社が破たんした場合も資産は保護される

老後資金の準備を後押ししてくれる制度であるiDeCo。最近は証券会社でもiDeCoのサービスを提供するところが増えている。しかし銀行や保険会社に比べると一般の人には比較的馴染みが少ない証券会社。大切な老後のお金を預けることに不安を感じる人がいるかもしれない。しかし万が一、証券会社が破たんしても加入者の資産が守られる仕組みがある。

証券会社にiDeCo口座を開設して掛金を払い込んだ場合、そのお金は最終的に信託銀行など事務委託先金融機関に預けられる。証券会社が資産を預かっているわけではないのだ。そして前述のとおり事務委託先金融機関ではiDeCoの資産を自社資産とは分別して管理している。そのため証券会社や事務委託先金融機関が破たんしたとしても、iDeCoの資産は全額保護されるというわけだ。多様な選択肢からiDeCoのサービスを検討してみてほしい。