成長投資枠は「市場動向と枠の有効活用」を重視

成長投資枠では、「特に理由はない」(24.6%)を除くと、「市場動向を踏まえて判断するため」(19.2%)が最多となった。次いで「年間投資枠の限度額まで購入したいため」(15.3%)、「生活資金等を差し引いた余剰資金が変動するため」(11.0%)が続いている。

NISA口座(成長投資枠)購入金額の変更理由(複数回答)

NISA口座(成長投資枠)購入金額の変更理由(複数回答)を表した図表
 
出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)
 

年代別の特徴として、30代以下では「生活資金等を差し引いた余剰資金が変動するため」は18.0%と他の年代より高い。余剰資金を投資にあてている堅実さがうかがえる。40代では「投資への興味が増した/減退したため」が他の年代よりやや高く、10.8%となっている。

「他の資産形成支援制度(iDeCo等)との資金配分を調整するため」との理由は50代が6.6%と、30代以下(8.3%)に次いで2番目に多い。リタイア前の年代であることから老後資金を見据えて戦略的に配分を考えているのだろう。一方で30代以下では限られた資金を有効活用するため、他の資産形成制度との間で随時、配分調整を図っているものとみられる。

また、65~69歳では「市場動向を踏まえて判断するため」が24.8%と全体平均を大きく上回っており、ベテラン投資家の慎重かつ機を捉える投資姿勢がうかがえる。また、70代以上では「個別商品の値動きや配当金・分配金の状況を踏まえて判断するため」が13.0%と他の年代より高い。年金収入をメインに生活を送る中、生活資金を補うため機動的な売買を意識しているシニア投資家の姿が浮かび上がってくる。

つみたて投資枠、成長投資枠の使い分けが明らかに

このようにつみたて投資枠と成長投資枠では投資家の意思決定に明確な違いが見られる。つみたて投資枠では、定時定額の積立投資を継続が最大の理由となっており、長期かつ継続的な資産形成という本来の目的に沿って利用されている。

一方、成長投資枠では市場動向を踏まえて判断するとの理由が最多となり、相場状況に応じて柔軟に投資額を調整する傾向が強い。また、年間投資枠の限度額まで購入したいという回答も多く、税制優遇メリットを最大限活用しようとする投資家の姿勢がうかがえた。

自身の年代や投資目的に合わせた投資戦略を考える上で参考にしてはいかがだろうか。

調査概要 調査名:「個人投資家の証券投資に関する意識調査」 調査主体:日本証券業協会 調査報告書公表:2025年9月 調査実施期間:2025年4月15日~19日 調査対象:日本全国の18 歳以上の有価証券保有者5000 人