住宅ローンで直面する悲劇

来年の住宅ローンの返済額が変更になるという。来月から3万円も多く払わないといけなくなっている。原因は明白で、金利が倍近くまで上がっていた。

麻由美たちはマイホームのローンを組むときに変動金利を選んでいた。理由は簡単で、変動金利のほうが固定金利よりもずっと金利が安く、返済額が少なかったからだ。もちろん変動金利である以上、利率が上がってしまう可能性もあったが、日本は10年以上低金利が続いていたこともあり、この先もそう上がることはないだろうと思っていた。

麻由美がため息をついていると、風呂上がりの秀行がまだ濡れた髪をタオルで拭きながらリビングへと入ってきた。

「ねえ、ちょっとこれ見てよ」

「……何?」

仏頂面の秀行だったが、はがきを確認して思わず顔をしかめた。

「何だよこれ? めちゃくちゃ金利が上がってるじゃん」

「ほんとね……。来月から3万円も多く払わないといけなくなるなんて……」

秀行は盛大な舌打ちをして椅子に座る。

3万円は払えない額ではない。だがボディブローのように家計に響く金額であることは言うまでもない。

孝典は現在、14歳で来年には高校受験を控えている。成績のいい孝典の第一志望は都内でも有数の私立進学校だ。もちろん出し惜しみするようなつもりはないが、大学卒業までの学費を考えれば、このボディブローは痛い。

それに、これ以上金利が上がらない保証だってない。上がらないはずだと見込んで選んだ変動金利だったのに、たった1年であてが外れたのだ。今後のことはもう誰にも分からない。

――これからは節約生活だね。

麻由美がそう笑い飛ばそうとしたときだった。秀行は不機嫌そうな表情で、麻由美のことを睨んでいた。