特定非営利活動法人 確定拠出年金教育協会は10月28日、中小企業における企業型確定拠出年金(企業型DC)制度の導入を促す「DCグッドスタート認定制度」の創設を発表した。同日、後援企業のキャピタル・インターナショナルとの共同記者会見が開催された。

小規模企業向け「DCグッドスタート認定制度」とは

同制度は小規模企業による企業型DC制度導入の支援を通じて、従業員の老後資産形成を後押しするものだ。専門家のアドバイスのもと、適切な手順・運営体制で企業型DC制度を導入した企業を「DCグッドスタート」として認定し、認定ロゴと20万円の助成金を交付する。

対象となるのは従業員数10名以上100名未満で、2025年3月~2026年2月に企業型DC制度を導入した企業。応募は専用フォームで15の設問に回答し、導入時説明資料を添付する形式となっており、さまざまな業務で多忙な小規模企業のDC担当者への配慮がなされている。認定は加入者本位であることを重視し、①制度設計、②制度導入・加入時の説明・教育、③導入後の運営体制の3領域で審査が行われる。

企業型DC制度の普及は中小企業に課題

同協会の斎藤順子理事長は、会見で「企業型DCの導入対象となる事業者279万社に対し、導入企業は5万2000社で、導入率はわずか2%未満。5万2000社のうち大半は1000名以上の大企業が占めており、中小企業に勤める方々はまだDCのメリットを十分に享受できる環境ではない」と語り、今後DCの普及を考える上では中小企業への広がりが重要である考えを示した。

こうした問題意識を背景に創設されたDCグッドスタート認定制度は、その名の通り“導入時”の仕組みづくりの重要性に焦点を当てたものになる。認定申請のプロセスを通じて、DC担当者が今後抱えうる課題への対策をセットアップしてもらうことが狙いだ。認定基準の策定には、同協会がDC導入企業への調査活動等を通じて得た知見が生かされているという。

左から小泉徹也代表取締役社長、斎藤順子理事長、大江加代理事兼主任研究員

同じく会見に臨んだキャピタル・インターナショナルの小泉徹也代表取締役社長は、「企業型DCは素晴らしい制度であり、日本のすべての勤労者が使えるような“社会のインフラ”になっていくと大きく社会が変わっていく。このインフラをこの国の中小企業で働く勤労者の間に広げていくことが社会にとって非常に大切」と今回の認定制度の意義を語り、続けて、「この小さな一歩がいずれ日本の多くの勤労者を支え、社会的インパクトにつながる活動になると信じている」と後援への想いを強調した。

 

応募期間は2026年1月5日~2月20日。認定企業は2026年3月下旬に決定・通知され、助成金の支給は2026年4月を予定している。助成金の交付は年度上限に達すると終了するが、その後も企業の認定自体は継続される。

●参考:特定非営利活動法人 確定拠出年金教育協会「DCグッドスタート認定・助成金の応募について」