妹が抱えていた劣等感

「……いっつも姉さんに比べて苦しかったのよ。だからちゃんと正社員で働いてしっかり頑張ってるって母さん達に見せたかったんだ。そうすれば認めてもらえると思って。だからこんな状況だって母さん達には知られたくない……。またがっかりされちゃうからさ……」

今まで聞いたどんな話よりもさつきは衝撃を受けていた。まさか由利が劣等感を抱いていたとは思わなかった。

「……いつもヘラヘラして、何も考えてないみたいに思ってた」

さつきの言葉に由利は皮肉っぽい笑みを浮かべる。

「そうでもしておかないと、惨めでしょうがなかったの。どれだけ頑張っても姉さんには敵わないって分かってたからね」

「……だから母さんに嘘をついてちゃんとしているように見せてたのね?」

由利は力なく頷いた。

「……呆れた。そんなこと気にする必要なんてないのに。それに大変な状況だったら家族を頼ればいいのよ。事情を説明したら分かってくれるから」

「……うん。今は後悔してる」

「今回だって私は母さんに頼まれてここに来たのよ。母さんはいつでもあなたのことを心配してるんだから」

さつきがそう言うと由利は少しだけ安堵したような顔になる。

「そうだったんだ……」