株価の暴落と金利の関係
株式市場にショックをもたらしたものは、一体何だったのでしょうか。
また2024年3月と7月末〜8月で何が違ったのでしょうか。
一番の違いは、2024年3月の利上げについては「利上げするだろう」という市場のコンセンサス(合意)があったのに対して、7月末の利上げが多くの市場関係者にとってサプライズであったことです。
さらに火に油を注いだのは、直後に行われた会見で日銀の植田和男総裁が「実質金利は非常に深いマイナス」「政策金利0.5%の壁も特に意識せず」と発言し、今後も利上げが続くことを示唆したことです。
つまり2024年7月末の利上げは、インフレの見方に関しては以前とさほど変わらないままであったにもかかわらず、実質金利をサプライズで上昇させ、しかも今後も利上げを通じて実質金利をさらに上昇させるという内容だったのです。
このことが、特に株式市場の評価に大きな影響を与えたのではないかと思います。もちろん、2024年夏の株式市場の暴落要因は、日銀の利上げだけではありません。
米国経済指標の悪化やそれにともなう米国株安、為替介入による急速な円高などの要因も重なっていました。
しかし、長年の超低金利に慣れた株式市場参加者にとって想定外の衝撃であり、「これから『本格的に金利のある世界』に戻れば、株式には逆風かもしれない」という意識が高まったことは間違いないでしょう。
こういった金利と株価の関係を理解するためには、基礎的な知識を押さえるだけでなく、日々のニュースを読みながらその背景を探り、「これまでに何が起きていたか」「今、何が起きているのか」「これから何が起きそうか」を考えるトレーニングが必要です。
ちなみに金利(派生商品)市場においては日銀からのリーク報道などを通じて事前に利上げに対する警戒感は高まっており、利上げ確率は70%程度まで上昇していました。金利は「先に動いていた!」というのは決して誇張ではありません。
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