子どもたちの羨望の的

最初に近づいたのは、慧斗くんだった。

「翔くん、それレッドだよね? しかも、覚醒後の最強のやつ」

「うん、そうだよ」

「すっげー。かっこいいー」

次に別の子がベルトを覗き込む。

「えっ、ここ回るの? もう1回見せて」

翔は照れ笑いをして、面ファスナーをはがし、ぱちんと留め直した。留める音が周りの子の耳に心地よかったのか、同じ動作をもう一度、と手が伸びる。

「胸のマーク、さわってもいい?」

「いいよ。ここが布で、ここがテープ」

スマホを持った子が言う。

「写真、撮ろうよ」

フォトブースの前に小さな円ができ、手がいくつも伸び、星とベルトに触れた。

遠巻きに見ていた子が順番になり、小声で「さわってもいい?」と聞いて、そっと指先で触れた。