人生の経営者として「資産」「負債」を管理する

この年代で求められる大きな試練が、住宅購入や教育など、多額で長期の資金が動くライフイベントへの対応です。資産と負債(ローン)とうまく付き合っていくことが必要になるため、しっかりと「家計の棚卸」を行い、定期的に家計状況を把握・見直しすることが重要です。

定期的な家計管理による収入・支出の把握はもちろんですが、“人生の経営者”となったつもりで、[図表5−5]のように「家計のバランスシート(balance sheet:B/S)」で資産と負債を“見える化”することを心がけましょう。

 

金融資産の把握は、難しく考える必要はありません。現在では、家計簿アプリなどで各銀行・証券会社などの保有金融資産を自動で一元管理してくれるサービスもあります。ミライ研が行った調査では、実は若い世代ほど家計管理をしているというデータもあります。ぜひ、アプリ等を駆使して手軽に家計の“見える化”にトライしてみましょう。

「自宅(不動産)」と、「住宅ローン(負債)」の管理はどのようにすればよいでしょうか。ミライ研の調査1によると、持ち家購入者(相続・譲渡などでの取得者は除く)のうち、30代では53.1%、40代では52.6%の方が「住宅ローン返済中」と答えています。

1 三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2025年)より。

家計のバランスシート上では、自宅不動産の「現在の価値」をざっくりでも良いので確認し、搭載しておくことをおすすめします。現時点で売却するつもりがなくても、自身の家計行動の選択肢を把握することにもつながります。また、親の介護、子どもの進学などにより、住み替えなどの検討が必要なケースが待ち受けているかもしれません。

全体のバランスシートは、今後の家計収支や積立計画がしっかりして、黒字化が見込まれる状況であれば、一時的なマイナス(債務超過)は大きく心配する必要はないでしょう。ただし、頻度高く更新する必要はないものの、年に一度や、大きなイベントがある際には更新し、適宜、家計収支や資産形成計画を見直しましょう。