二人以上世帯の元本割れ経験率は?
続いて二人以上世帯における元本割れの経験率を見ていこう。
■元本割れの経験(年代別・二人以上世帯)
二人以上世帯のうち元本割れ経験がある割合は、年代が上がるにつれて一貫して増加する傾向が見られる。20代の26.9%から、30代、40代、50代と緩やかに上昇している。60代になると一気に40.8%と4割を超え、70代では44.0%と最も高い水準に達する。これは高齢層ほど投資経験が長い傾向にあり、バブル崩壊やリーマンショックなど過去の金融危機を経験している人が多いためと推測される。
二人以上世帯は元本割れをどう受け止めたのか
二人以上世帯では元本割れをどう受け止めたのか。傾向を見ていこう。
■元本割れ経験の受け止め方(年代別・二人以上世帯)
元本割れを経験した二人以上世帯は全年代で「相場が外れたので仕方がない」が最多の回答となった。平均は72.8%と、単身世帯より若干高い。また20代と30代では、単身世帯より「自分が元本割れのリスクをよく理解していなかった」という自己の知識不足を認識する回答が6〜7ポイントほど高くなっている。中には家族を養うためにとの思いから積極投資したものの、準備不足を実感したという人もいたかもしれない。
一方で50代以降は、相場の動向として割り切る「仕方がない」派が単身世帯より高くなる傾向にあり、経験値によるものか割り切りの姿勢が見られる。
安全性と収益性のバランスが重要
元本割れの経験率は年代が上がるほど高くなり、20代と70代では単身世帯で約30ポイント、二人以上世帯で約30ポイントの差がある。一因として、投資経験の長さが挙げられるだろう。元本割れをどう受け止めるかについては年代を問わず、相場の予想外れやリスク理解不足など自己責任と捉える人が約9割を占めた。特に若い層はリスクを理解していなかったとの回答が多く、20代二人以上世帯で最も高い結果となった。
投資において元本割れは珍しいことではない。相場は常に右肩上がりでもなければ、下がり続ける一方でもない。一時的に元本割れの局面に遭遇しても、長期・積立・分散という資産形成の基本に立ち返ることで元本割れを取り戻すことも十分に期待できる。年齢を重ねるにつれ、安全性を重視する資産と収益を追求する資産のバランス調整が不可欠となる。自身のライフステージを踏まえ、資産の出口戦略を視野に入れながら運用することが重要だ。
●元本割れ対策は? 後編「【20代~70代】「元本割れ対策」に年代別の違いはある? 資産運用「積極派」と「消極派」の割合は」にて詳報している。
<調査概要> 調査名/「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(金融経済教育推進機構) 調査時期/令和6年6月21日~7月3日 調査対象/単身世帯:全国2,500世帯(20歳以上80歳未満で単身で世帯を構成する者)、二人以上世帯:全国5,000世帯(世帯主が20歳以上80歳未満で、かつ世帯員が2名以上)、総世帯:令和3年調査より二人以上世帯、単身世帯の調査方法が同一となったことから、両調査の計数を合算する形で作成を開始した参考計表 調査方式/インターネットモニター調査


