アメリカ経済の現状は

そこで、ウィークリーエコノミックインデックス(WEI)を見ておきましょう。これは、10種類の日次、週次のデータから週次で米経済のGDP成長率(前年比)を推計しているものです。WEIは9月25日時点で前年比2.1%と潜在成長率をやや上回るペースの成長が続いていることを示しています。中でもウエイトの高い個人消費を見てみましょう。

(スライド 6)

 

レッドブックリサーチが公表している前年比で見た週次の小売売上高です。商務省が発表している小売売上高と8割以上のデータが重複しています。これを見る限り、7-9月期の個人消費も概ね底堅さを保っています。(スライド 7)

 

以上を踏まえてアメリカ経済の現状をまとめます。まず、株高による資産効果に支えられ、個人消費は堅調に推移しています。おそらく10月30日に示される第3四半期のGDP統計でも相応の高い伸びが示されそうです。

次に、インフレは加速こそしていないものの、依然として2%を大きく上回っています。加えて、関税によるインフレが見られた場合、インフレ期待の上昇に波及すれば自己実現的なインフレを招く可能性もあります。

一方、労働市場の悪化が続いており、複数回の利下げが見込まれ、9月の雇用統計が非常に重要です。もっとも、10月末に米中首脳会談が持たれる見通しです。また、米中関税交渉の期限も11月10日です。それまでに米中間で大きなディールが成立した場合、先行き不透明感の後退を受けて、企業が採用活動を活発化する可能性がある点には留意が必要です。(スライド 8)