「FOMO」による買いによって、株価上昇余地が…

もうひとつ、株価の上昇余地があるのではないかと考える根拠は、「FOMO」による買いが進むのではないかという期待です。

FOMOとは、Fear Of Missing Outの略称で、要するに「取り残されることへの恐れ」を意味します。株価が上昇トレンドに入っているのに、株式を保有していないがために利益を取り逃す恐れ、と言い換えてもよいかもしれません。

今年4月、トランプ大統領の相互関税発表による株価急落を受け、現在までに投資家がどのような行動をとったのかを、東京証券取引所が発表している「投資部門別売買動向」で見てみましょう。

東証プライム市場においては、9月第2週までで個人投資家が4兆8542億45万2000円の売り越し、外国人投資家は5兆5291億1867万6000円の買い越し、投資信託が7314億2060万3000円の売り越し、そして事業法人が6兆5422億30万3000円の買い越しでした。

このうち投資信託の保有者は多くが個人と思われるので、個人の売り越し額は5兆5856億2105万5000円になります。対して外国人投資家と事業法人の買い越し額が12兆713億1897万9000円ですから、この間の株価上昇は、外国人投資家と事業法人の買いに支えられたことになります。ちなみに事業法人の買いは、純投資ではなく、自社株買いによるものと推察されます。

この先、たとえ外国人投資家が利確売りをしたとしても…

この先、この株価上昇によって「取り残されることへの恐れ」を抱いた個人が買いに転じるかどうかがポイントです。一方で、比較的安値を拾い続けた外国人投資家が、利益を確定させるために売りに転じる懸念はありますが、現状、米国は金融緩和の兆しが強まっており、リスクオンへと転じつつあります。9月第2週は大幅な売り越しになっていますが、今後は買い越しに転じてくる可能性が考えられます。こうした売買動向からも、株価の上昇余地はあると見ています。

とはいえ、資産形成に必要なのは相場の方向性を当てることではありません。大事なのは、もし現預金のみで資産を保有しているのであれば、その一部をインフレリスクに強い資産に変えておくことです。そのためには、極めて常識的な結論になりますが、毎月定額積立で投資信託などを購入しておくのがお勧めです。

当然、積み立てていく過程では、株価が急落する場面もありますが、定額積立の良さは、大きく下げた時に、より多くの口数を仕込めることです。これによって、安値を多く拾えるため、次の上昇局面では損失の回復が容易になります。まずは少額の積立投資から始めてみてはどうでしょうか。