本当に日本株は割高なのか?
では、今の日本の株価は本当に割高なのでしょうか。
過去の時系列から見ると、日経平均株価が3万8915円の高値をつけた1989年12月時点における、東証1部市場の平均PERは61倍に達していましたし、平均PBRも5.6倍でした。
では、今はどうなのかというと、8月時点の東証プライム市場における平均PERは16.8倍、平均PBRは1.3倍です。バブル期の日本の株価は、もはや何をもってしても説明できないくらいに割高になっていましたが、そこから比べると、今の日本の株価が割高であるとは考えられません。確かに日経平均株価の水準は、バブル期に比べて17.8%も上回っていますが、市場は極めて冷静と見るのが妥当でしょう。
では主要国の横比較でPERの水準を見てみましょう。すると米国のNYダウが24.7倍、ナスダックが34倍、イギリスのFT100が19.8倍、ドイツのDAXが30.7倍、といった数字が見られます。基本的にPERが20倍を超えると割高と見なされる傾向があり、その点では米国のNYダウ、ナスダック、ドイツのDAXなどはいずれも割高と考えられますが、それらとの比較で見ても、東証プライム市場の16.8倍という平均PERは割安です。
もちろん、PERが低いのにはワケがあります。PERは株価を1株純利益で割って求められます。そして株価は、その企業の将来成長性に対する期待値でもあります。その企業がこれからもっと成長する可能性が高いと思えば、投資家はその企業の株式を買うため、株価が上がり、PERも上昇します。つまりPERが低めに抑えられているのは、日本企業の将来成長性に対する期待が低いことの現われでもあります。
では、将来成長性が低いと株式は買われないのでしょうか。
もちろん基本としては、将来成長性が高い企業の株式ほど買われ、株価は値上がりします。それは基本中の基本ではありますが、成長が期待されなくても買われる株式もあります。割安銘柄がまさにそれで、ここ数年の日本の株価上昇は、PBRが1倍を割っている割安銘柄が買われたことによって、ここまで上昇してきました。
ちなみに連結ベースのPBRが1倍を割り込んでいる銘柄数は、東証に上場されている3786銘柄(9月19日時点 東京プロマーケットと外国株は除く)のうち1471銘柄もあります。もちろんPBR1倍割れには、それ相応の理由があり、どの銘柄も割安だから買いだとは言えませんが、買える銘柄の見直し買いが進めば、株価にはまだ上昇余地があると考えられます。