米国の先行懸念を抱える投資家ができる「現実的な対応」
今の状況で取り得るもっとも現実的な対応としては、保有しているポートフォリオに占める米国株式の割合を減らすことでしょう。資金面に余裕があるならば新規資金で、他の国の株式市場に投資するETFや投資信託、あるいは個別銘柄を購入します。
ただし、この方法だと、株式をはじめとしたリスク資産への投資割合が上昇します。前述したように、米国株式が急落すれば、他の国の株式市場もそれに倣いますから、不幸にしてそのような事態に直面した時、リスク資産への投資割合が高まっている分、損失も大きくなります。したがって、自分が取り得るリスクがどの程度かを把握してから実施することをお勧めします。
次に、米国株式の一部を売却することですが、問題は売却した資金をどうするか、です。先行き不透明感から米国株式が急落するリスクを極力回避したいのであれば、米国株式の一部を売却した後、現金のまま保有した方が良いでしょう。
これが機関投資家であれば、現金比率を高めた後、想定外に株価が上昇して運用成績がマーケットに追いつけなくなるリスクを嫌がるため、常にフル・インベストの状態に持っていきたがりますが、個人は誰と運用競争をするわけでもないので、マーケットの先行きが怖いと思ったら、現金比率を高めて株価が急落するのを待てば良いのです。
もしそうなった時には、持っている現金で株価が安くなったものを仕込んでいきます。もし米国株式の先行き不透明感がその時点で払拭していれば、米国株式を買えば良いし、先行き不透明感が残っているならば、米国株式以外の投資比率を高めれば良いでしょう。
なお以上の話は、すでにある程度の額の資産で、ポートフォリオを構築している人向けのものです。
「新NISAでオール・カントリー(もしくはSA&P500)」で投信積立を開始したばかりの人は…
一方、投資初心者で、S&P500やMSCI-ACWIといったインデックスに連動する投資信託を定額で積立購入している人は、特に何かを大きく変える必要はありません。定額の積立購入自体が、長期的に見れば株価急落時の緩衝材になっていますから、わざわざ米国株式以外の資産を多めに組み入れたり、積立金額を減らしたりしなくても、価格変動リスクをある程度、抑えられます。淡々と積立購入を継続してください。
ただし、株価が急落したからといって途中で積立購入を止めないこと。止めた時点で積立購入のメリットが損なわれてしまいます。その点には留意してください。
