個人投資家もABUSAの流れに乗ったほうがいいのか
では、皆さんの資産ポートフォリオから米国株式市場を外すという選択肢はあるのかどうかを考えてみましょう。
確かに、今の時点で保有している米国株を全てポートフォリオから外せば、いつかは必ず起こる米国株の急落による影響を回避できます。
しかし、その一方で米国株がさらに値上がりする可能性を全否定することはできません。実際、2025年4月に急落してからも、S&P500は長期低迷に陥ることなく上昇に転じ、急落から2カ月とちょっとで、急落前の高値を奪還してきました。
2000年のITバブル崩壊や、2008年のリーマンショック後に株価低迷が長引いたのとは様変わりです。急落した後、株価低迷が長期化するのであれば、米国株式をポートフォリオから外すのもひとつの手だとは思いますが、次回、株価が急落したとしても、2025年4月のように短期間で値を戻してくる可能性も否定はできません。となると、今の段階で保有している米国株式を全売却するのは、いささかはばかれます。
それに、米国の株価が急落した時、ABUSAだからといって欧州株式や日本株式に資金をシフトさせて無事に難局を乗り切れるかというと、それも疑問です。米国株式市場が急落し、低迷が長引いた時、欧州株式や日本株式が無事に高値を更新し続けられると考えるのは、あまりに楽観視し過ぎでしょう。
何しろ、世界のGDPの約4分の1を占める経済大国の株価が長期低迷すれば、他の国の株式市場も無事では済みません。それはリーマンショックが米国以外の国の経済やマーケットに及ぼした影響を振り返れば、一目瞭然です。
こうした事実から考えると、保有しているポートフォリオから米国株式を全売却するのは、現実的ではありません。
