「我慢している」分野で潜在的な消費意欲が高い
同白書の別の調査結果では、現在節約している分野として食費が主流として挙げられていた。興味深いのは今後支出額を増やしたい分野として、その節約している食費が相対的に高い回答となっている点だ。物価上昇の影響で今は節約しているものの、食費に対する消費意欲は依然として高いことを示している。「今は控えているが、できれば使いたい」という心理が見て取れる。
また、支出を増やしたい分野に年代別の傾向はあるのだろうか。結果は前述の年代平均の結果と同様、「あてはまるものはない」との答えが20代~60代での各年代で最も多く、さらに高齢層ほど高い傾向にあることが分かる。
今後支出額を増やしたい分野(年代別)
調査項目以外の分野で支出を増やしたいという可能性もあるが、高齢層を中心に消費意欲が飽和している可能性がうかがえる結果となっている。
一方で20代などの若い世代は、食費や衣類、身の回り品などで「支出を増やしたい」と答えた割合が高く、高齢層とは逆の傾向にある。高齢層は、白書の別の調査から食費や衣類などを中心に他の年代より節約意識が強いことも明らかになっている。そのため、これらへの潜在的な消費意欲も低い可能性がある。
ただし、「旅行やレジャー」については高齢層においても支出を増やしたいという回答が多い。特に60代で突出しているさまからは、普段は節約しているものの興味がある分野への消費意欲は決して低くないことがうかがえる。今後の経済活性化に向けては消費意欲を刺激する新しい商品やサービスの開発が重要なポイントとなるかもしれない。
●所得が増えたら消費を増やす? それとも…後編「「将来にわたって所得が増加するなら…」増やしたいのは食費VS.旅行VS.投資?【年代別調査】」にて詳報する。
調査概要 白書名:「令和7年度年次経済財政報告」 調査主体:内閣府 公表日:2025年7月29日