はじめに

税収の上振れが続いている。実際、当初予算との対比でみれば、2021~2024年度にかけて4年連続で上振れており、平均上振れ額は+5.9兆円にも上る。また、補正後予算との対比では2021~2024年度にかけて4年連続で上振れしており、平均上振れ額は+2.5兆円となっている(資料1)。

 

 

中でも、2024年度は大規模な定額減税が実施されたにもかかわらず、税収が上振れしている。具体的に同年度の税収を見ると、当初予算時点で69.6兆円だったのが、補正後予算で73.4兆円に上方修正されている。そして決算時点に至っては75.2兆円にまで上振れしている。

特に注目すべきは、2024年度の名目GDP成長率は+3.7%となっているが、大規模定額減税があったにもかかわらず税収は+4.4%も増加していることである。つまり、名目GDPが1%変化したときに税収が何%変化するかを示す税収弾性値は定額減税があったにもかかわらず24年度は1.2となり、これまで一般的に税収弾性値は1.1~1.2とされてきたことからすると、少なくとも近年は政策当局の想定よりも高いことになる(資料2)。

 

 

この背景としては、物価や株価が上昇していることや、所得税が累進課税になっていることに加え、繰越欠損金や欠損法人割合の変化等が指摘できる。実際に、過去の欠損法人割合は名目GDP成長率と非常に連動性が高くなっている(資料3)。そして、過去には50%を切る時期もあった欠損法人割合が、直近2023年度時点でも依然として61.0%の水準にあることからすれば、当面は欠損法人割合の低下が期待されることによって、税収弾性値が高水準を維持することが予想される。