老後の安心を支えるマイホームという選択
本サイトでも何度か紹介されていますが、三井住友トラスト・資産のミライ研究所の調査では、年代が高まるほどマイホームを持っている人の幸福度が高まる傾向があるそうです。
実はこれ、重要な事実だと思います。若いうちは賃貸生活に大きな不安はないものの、リタイアが近づいてくると「このまま賃貸でいいのだろうか」という不安が生じ始めます。不安は私たちのウェルビーイングを下げてしまいます。
そして持ち家を取得しないまま(あるいは取得できないまま)、実際にリタイア生活に入ってみると家賃の負担が重いことに気がつかされ、幸福度がダウンしてしまうのでしょう。
公的年金水準は日常生活費をまかなう分にはなんとか事足りるものの、家賃手当は上乗せされません。家賃を捻出するとその分老後の生活にしわ寄せが出てきてしまいます。
人生100年時代とよく言われますが、リタイアしたあとの長い年月をお金の不安なくすごすためには、持ち家を確保しておくほうがウェルビーイング的にはプラスと言えそうです。
本質的な家族の幸福は家だけで得るものではない
それでも、マイホームの取得だけが私たちの幸福度を高めるわけではない、ということを私たちはしっかり考えておきましょう。
こういった言い方は意地悪かもしれませんが、家庭が不仲であるとき、マイホームの取得をしたからと円満に転じるわけではないからです。
狭い部屋でも仲良く暮らしていた家族がマイホーム取得で幸福度が上がる、というのはそもそも高いウェルビーイングがあってこそです。
家族のウェルビーイングは、マイホームの取得だけが改善してくれるわけではありません。マイホームを買ってひとり一部屋をあげられるようになったら、それぞれ扉を閉めてこもってしまい、むしろ家族の時間がなくなった、なんてことも起こりえます。ケンカはなくなるかもしれませんが、あまりウェルビーイングな家族とは言えませんね。
マイホームは確かに幸せの一歩です。また老後のマネープランを考えても安心を得る手段でしょう。しかし、マイホームの取得はウェルビーイングのゴールではありません。最終的な家族の幸せは、自分たちでつかみとっていく必要があることを忘れずにいたいものです。