買った株が急落してしまった……
個別株へ投資していたら誰しも陥るトラブルに、どのように対処したらいいのでしょうか?
投資顧問として活躍する栫井駿介さんに、物語をベースに解説してもらいます。第二回は、架空の人物・波野を主人公に、持っている株が下がった時の対処法をお伝えします。(全3回の2回)
※本稿は、栫井駿介著『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』(ダイヤモンド社)の一部を抜粋・再編集したものです。
前回までのあらすじ
「トリリオンバイオ」という会社の株で大損し絶望する商社マン・波野は、公園近くで見つけた「ひばり投資診療所」にふらりと入る。現れたのは毒舌女医と謎の男性スタッフ。診察で投資の甘さを突かれ、一度は逃げ出すが──戻った彼を待っていたのは、意外な“診断”だった。
●前回:「戻るはず」は危険な考え! 買った株が急落した際の投資家心理を専門家が説く
株が急落したらどうすればいい?
忌部は俺が発言するのをじっと待っている。
「じゃあ何でこの株は上がってたんですか? 今年に入ってから、2・5倍になってたじゃないですか。アメリカの製薬企業との提携も、新薬の成功確率が低いことは賢い人ならわかってたはず」
トリリオンバイオは、昨年末4000円前後で取引され、それが4月には1万円を超えた。俺はそこで買ったのだが、そこから急激に下がりだした。「ストップ安*」という単語もそこで初めて知り、気がついたら株価は6000円にまで下がっていた。
俺はまた戻るだろうと思って売るに売れず、むしろここで「ナンピン買い**」すべきかどうか悩んでいたのだ。
* ストップ安:株式市場における一日の値動きの下限。株価急落を防ぐための仕組み。
** ナンピン買い:値下がりした保有株をさらに買い、平均取得価額を下げること。
「あんたみたいな馬鹿が大勢いるからだよ。誰かが煽って、馬鹿がそれに飛びつく。煽ったやつにとっては、飛びついた馬鹿に売り抜けたら、一丁上がりさ」
「でも、新聞や証券会社のレポートでも、トリリオンバイオは素晴らしいって取り上げられていましたよ! あれも煽りだって言うんですか!?」