頭金「少ない」「多い」…進む借入れの二極化
融資率90%超(「90%超~100%以下」と「100%超」の合計)の借り入れは今回(25年4月)の調査では全体の40.0%を占めている。3年前(22年4月)の調査でも41.1%、その間も同水準を保っており、頭金をあまり用意せずに住宅を購入するケースが一定の割合で推移していることが分かる。
一方で、「50%以下」の低融資率(頭金を多く用意しているケース)は22年4月調査の11.5%から25年4月調査では17.3%と上昇している。
中間的な融資率である「60%超~70%以下」「70%超~80%以下」「80%超~90%以下」の各区分は、いずれも緩やかな減少傾向にある。これは借入れ比率の二極化、中でも高融資率側への偏りが進んでいることを示唆している。
金利上昇時代の住宅ローン戦略
これらのデータから金利上昇期に入りつつある今日の住宅ローン市場の実態が見えてくる。借入金利は「年0.5%超~年1.0%以下」と比較的低利率が主流となっているものの、超低金利(年0.5%以下)での借入れは徐々に難しくなってきている。今後、住宅の購入を検討している人は以下の点を考慮するとよいだろう。
1. 金利は上昇傾向にあるため、借入れのタイミングが重要になってきている
2. 融資率が高い(頭金が少ない)借入れが主流になっているが、金利上昇環境では返済負担が増すリスクがある
3. 「100%超」の融資を受けるケースも増えているが、慎重な姿勢が求められ、諸費用も含めた総合的な資金計画を重視したい
金利上昇局面では、変動金利と固定金利のどちらを選ぶかという判断が今まで以上に重要となってくる。また融資率が高い場合は、返済計画をより慎重に立てる必要がある。特に「100%超」の融資率は、住宅の資産価値が下落した場合にいわゆる「オーバーローン状態」(借入残高が資産価値を上回る状態)が継続するようなリスクもあることを考慮すべきだ。
多くの人にとって住宅ローンは人生で最も大きな借入れだろう。それだけに最新の動向を踏まえつつ、自身の家計状況に合わせた無理のない計画を立てて借り入れること、そして返済を継続することが重要だ。
調査概要 調査名:「住宅ローン利用者の実態調査 【住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)】」 調査主体:住宅金融支援機構 公表日:2025年6月27日 調査期間:2025年4月30日~5月12日 調査対象:2024年10月~2025年3月までに個人向け住宅ローン※の借り入れをした1397人(全国20歳以上~70歳未満、学生・無職除く) ※借換、リフォームローン、土地のみローン、投資用ローン除く)