高齢になるほど…年収はどのくらい減るのか?

調査では性別・年代別でも分類しているが、年齢を重ねることによる収入の変化が明確に表れている。

男性の場合、60~64歳では「25万~30万円未満」(16.3%)「30万~40万円未満」(15.9%)「40万~60万円未満」(15.9%)の割合が比較的高いが、年代が上がるにつれて「10万~15万円未満」「15万~20万円未満」の割合が増加傾向になる。

特に85歳以上の男性では「15万~20万円未満」の割合が28.0%と最も高く、収入が大幅に減少することが見てとれる。女性も同様の傾向を示しており、85歳以上では「10万~15万円未満」が19.8%と最も多くを占めている。

現在の1か月当たりの収入額(性・年代別、ひとり暮らしとそれ以外の比較)を表した図表
 
出所:内閣府「令和7年版 高齢社会白書」
 

ひとり暮らしと同居世帯の収入は?

家族形態別に見ると、ひとり暮らしの高齢者と同居世帯とでは大きな違いが見られる。

ひとり暮らしの高齢者は「10万~15万円未満」(年額120万~180万円未満)が20.8%と最も多く、次いで「5万~10万円未満」(年額60万~120万円未満)と「15万~20万円未満」(年額180万~240万円未満)がともに16.1%となっている。つまり、単身高齢者の過半数が月収20万円未満という実態が浮かび上がる。

一方、ひとり暮らし以外の世帯では「30万~40万円未満」(年額360万~480万円未満)が17.1%と最も高く、全体的に収入が高い層に分布している。これは配偶者やパートナーとの同居による世帯収入の合算効果と見られる。

調査からは「高齢者」とひとくくりでは捉えきれない経済状況の違いが明らかになっている。

特に年齢を重ねるにつれ、収入が年金頼みとなり、貯蓄の取り崩しから資産が先細る可能性が大きくなる。そのためにも、働けるうちは働いて収入を増やす、固定費を見直す、単身の場合は複数人での共同生活を模索するなど、先を見据えた対策を今のうちから各自で視野に入れておくとよいかもしれない。

月日が過ぎるのはあっという間だ。「備えあれば患いなし」のことわざどおり、準備を怠らずに老後生活に備える必要があるだろう。

●気になる1カ月の生活費は? 後編「60歳以上の「毎月の生活費」ランキング ボリュームゾーンが明らかに【0万~30万円以上】」にて詳報する。

調査概要 白書名:令和7年版高齢社会白書 調査主体:内閣府 公表日:2025年6月10日