自ら好んで元本確保型を選んでいる? 

「元本確保型のみで運用する者」イコール「無関心層」でしょうか?

自ら「元本確保型」を選んでいる層も一定程度いると考えられます。

「指定運用方法」が議論されていた当時の資料※1を振り返ってみると、運用商品を選択しないままでいると自動的に選択される「デフォルト商品」※2が適用される加入者は全体の9.5%ほどと推定されていました。プログレスレポートの「元本確保型のみで運用する者」が約20%とされていることから、半数は自ら望んで元本確保型のみを選択している人といえそうです。

しかし、自ら運用商品を選んでいる人についても、情報の入手ルートによって偏りが生じています。プログレスレポートでは運営管理機関の業態別の分析を行っており、「損保」「地銀・信金・労金」では「元本確保型商品のみで運用する者」の割合が高い傾向がみられたとしています。

企業型DCでは、運営管理機関を選ぶのは事業主であり、加入者は選ぶことができません。加入者自らが運用商品を選んだとしても、運営管理機関の業態(や情報提供の優先度合い等)によって「元本確保型のみ」に陥っている加入者の存在もあるといえるでしょう。

こうしたことからプログレスレポートでは、「運営管理機関は、加入者等において個々人の状況や経済・金融環境を踏まえた適切な商品選択がなされるよう、企業と連携しつつ優先順位を決めて取り組みを強化させていくことが重要である」旨を指摘しています。

※1 「指定運用方法の基準に関する論点および資料」第6回社会保障審議会企業年金部会 確定拠出年金の運用に関する専門委員会 2017年5月10日
※2 デフォルト商品の95%は元本確保型商品