◆株式を上回る「インカム収益」の魅力
広島銀行の6月の売れ筋ランキングでランクアップした「日経平均高配当利回り株ファンド」や「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」は、株式インデックスファンドに対してより多くのインカム収益が期待できる資産クラスであるため、株式市場の先行きに不透明感が強まる中で、株式インデックスファンドの分散投資先の1つとして注目されるようになっていると考えられる。
「日経平均高配当利回り株ファンド」は、日経平均株価の採用225銘柄のうち、予想配当利回りの上位30銘柄を抽出して運用するもので、2025年6月30日現在のポートフォリオの予想配当利回りは4.7%と日経平均株価の2.2%を大きく上回っている。この配当利回りの高さは、国内の10年国債利回りが1.5%程度であることと比較しても十分に魅力的な水準といえ、組み入れ対象銘柄の価格下落を一定程度抑制する効果があると期待される。ただ、実際には「2024年8月」や「2025年4月」の株価急落時には、「高配当利回り株」は意外ともろく、日経平均株価と同じように下落してしまっていた。
一方、「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」は、株式インデックスと比較すると価格が低迷した状態が続いてきた。2020年の「コロナ・パンデミック(世界的大流行)」で広がった在宅勤務などの影響で都心のオフィス需要が減退するという見方が出て、オフィスの賃料の低下や空室率の上昇という悪材料が懸念されてきたが、2024年以降にはオフィス回帰が進みオフィスビルの賃料も上昇に転じている。同ファンドの基準価額(分配金込み)も2024年12月頃をボトムとして緩やかな上昇に転じた。ただ、株式ファンドと比較すると上昇率等の水準が小さい。同ファンドの2025年5月末時点の実績配当利回りは5.29%だ。株式とは異なるインカム収益のある投資資産としての価値が見直されていると考えられる。
執筆/ライター・記者 徳永 浩