赤字から回復も停滞 今期は営業益70%減、マージン悪化が逆風

では三菱マテリアルの業績を確認しましょう。

三菱マテリアルは20年3月期に最終赤字へ転落しました。収益性の悪化を認めた事業用資産の減損や不採算事業の再編損失といった特別損失が重なったことが主因です。

その後、半導体や自動車向けの需要が伸びたことから、業績は22年3月期にかけては回復します。しかし、24年3月期までは自動車や半導体向けが停滞し、売り上げが減少しました。これに伴い営業利益も減少します。経常利益は、鉱山配当の増加や持分法投資損益の改善から増益でした。

直近の25年3月期は増収増益です。タングステン製品メーカーの独スタルク社の買収費用を計上した一方で、円安影響や市況の上昇、金属事業の効率改善などが業績を押し上げました。

三菱マテリアルの業績を表した図表(2016年3月期~2025年3月期)
 
出所:三菱マテリアル 決算短信
 

しかし、今期(26年3月期)は一転して減収減益の計画です。自動車や半導体の需要は堅調を想定しますが、円高および金属事業における粗利益(買鉱条件)の悪化を見込むことから、利益は大きめの減少を予想します。

【三菱マテリアルの業績予想(2026年3月期)】

・売上高:1兆8700億円(-4.7%)
・営業利益:100億円(-73.1%)
・経常利益:330億円(-45.2%)
・純利益:200億円(-41.3%)
※()は前期比
※2025年3月期時点における同社の予想

出所:三菱マテリアル 決算短信