原因は……

遥香はため息をつきながら、虫の元凶とおぼしきあのお菓子の袋を思い返す。

「お義母さん、あの部屋に食品、置いてましたよね?」

「え? えーと……あっ、そういえば、この前、超濃厚チョコレートヌガーを取り寄せて……」

「それです」

きっぱりと宣言すると、義母は口をぱくぱくさせながら目を泳がせた。

「ま、まさか……あれが……原因?」

「はい、開封済みのお菓子の袋を常温で放置すれば、虫が集るのは当然です」

「そ、そんな……」

がっくりと肩を落とす義母に、心の中で「勝った」とガッツポーズを取ったのは内緒だ。

「ねえ、お義母さん。これを機に、少しだけ、片付けてみませんか? 溜め込むより、必要な物だけで暮らす方が、きっと気持ちも軽くなりますよ」

義母はしばし考え込んだ後、小さくうなずいた。

「……そうね。虫には勝てないし……」

「虫もすごいけど、お義母さんの悲鳴の迫力もなかなかでしたよ」

「褒めてないわよね、それ」