ワーク・ライフ・バランス実現への労使の取り組み結果

なお、2022年7月から2024年6月までの2年間における「仕事と生活の調和への取組状況」も調査している。その結果、労働組合から要求・申し入れがあった、あるいは何らかの取り組みを実施した企業は全体で133社に上った。

出所:厚生労働省「令和6年労働時間、休日・休暇調査」

労働組合からの要求・申し入れ内容で最も多かったのは「育児・介護・看護のための休業・休暇制度の拡充」。全体では32.3%(集計133社の43社)の企業でこの要求があった。

次いで多かったのは、全体で「育児・介護のための勤務時間短縮制度の導入・拡充」18.8%(同25社)、製造業では「休日増」で18.4%(集計76社の14社)となった。

一方、企業が実際に行った取り組みは「育児・介護・看護のための休業・休暇制度の拡充」53.4%(集計133社の71社)が最多で、次いで「出退勤の時間管理の徹底」36.8%(同49社)だった。

これらの結果から、労働組合が最も求めた対策と企業が対応した対策はともに「育児・介護・看護のための休業・休暇制度の拡充」であり、一致が見られた。

このことからは労使ともに育児や介護に関する制度の充実を重視しており、多様な働き方を支援する流れが強まっていることがいえそうだ。

多様な働き方を支える取り組みと今後

調査結果から、多くの企業が従業員のワーク・ライフ・バランス向上のための対策を実施していることが分かる。特に年次有給休暇の計画的取得や利用しやすい休暇制度の導入など、休暇取得を促進する取り組みが進んでいる。

企業には、業種特性などを踏まえた上で従業員が仕事と生活を調和させることができるような制度設計が求められている。労使の対話を通じて実効性のある対策を講じることが従業員の満足度や生産性向上につながるだろう。

●IT社会が加速度的に進む今、働き方を見直す機運が… 後編「デジタル社会でじわり注目、「つながらない権利」とは? どの程度、実践されているのか【5000社最新調査】」にて詳報している。

調査概要 調査名:「令和6年労働時間、休日・休暇調査」 調査主体:厚生労働省 調査実施期間:2024年8月2日~9月12日 調査対象企業:380 社(資本金5億円以上かつ労働者1000人以上、介護事業所のみ運営主体が社会福祉法人である施設かつ同100 人以上)、うち回答企業数 231社(回収率60.8%)