営業利益過去10年で最高、エナジー・コネクト好伸も当面は構造改革費が重い

最後に業績を振り返ります。

コロナ禍以降、パナソニックホールディングスの利益は増加傾向です。くらし事業が停滞するなか、コネクトが堅調に推移したほか、エナジーも大きく成長しました。エナジーは米国のIRA補助金(インフレ抑制法に伴う補助金)も追い風でした。25年3月期は調整後営業利益および営業利益(※)はいずれも直近10期で最高です。

※調整後営業利益…売上高-売上原価-販売費および一般管理費

※営業利益…調整後営業利益+その他損益+持分法による投資損益

出所:パナソニックホールディングス 決算説明会資料より著者作成

今期(26年3月期)は、調整後営業利益は増益の計画です。プロジェクター事業の非連結化の影響を受けるコネクトを除き、全セグメントで増益を見込みます。くらし事業は海外電子材料や北米ショーケースの増益、またエアコンの収益改善がけん引する想定です。またエナジーは、車載電池は新工場稼働に伴う費用増を拡販およびIRA補助金でカバーするほか、産業・民生向けはデータセンター向け蓄電システムが伸長する見込みです。

なお、営業利益および純利益は大きめの減益を予想します。オートモーティブの非連結化の影響や構造改革費用が重く、いずれも2ケタ減益の計画です。また、今期の予想に米国関税の影響は織り込んでいません。

【パナソニックホールディングスの業績予想(2026年3月期)】

・売上高:7兆8000億円(-7.8%)

・調整後営業利益:5000億円(+7.0%)

・営業利益:3700億円(-13.2%)

・純利益:3100億円(-15.3%)

※()は前期比

※調整後営業利益…売上高-売上原価-販売費および一般管理費

※営業利益…調整後営業利益+その他損益+持分法による投資損益

※2025年3月期時点における同社の予想

出所:パナソニックホールディングス 決算説明会資料

構造改革費用は今期に1300億円を見込みます。構造改革は29年3月期まで続く想定で、当面は営業利益や純利益の振れ幅が大きくなると考えられます。構造改革が完了するまでは、調整後営業利益が成長を測る指標として機能しそうです。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)