グループで1万人を削減、祖業の家電も見直し 高収益企業へ変革なるか
次に、パナソニックホールディングスが進める構造改革を解説します。
パナソニックホールディングスは25年5月、グローバルでの1万人規模の削減に言及しました。その前兆が同年2月に公表された新しい経営改革です。固定費の削減のほか、中核子会社であるパナソニックの再編、さらに低収益事業の整理など、大胆な変革を打ち出しました。
【言及された低収益事業の一覧】
<課題事業:撤退が視野>
・産業デバイス
・メカトロニクス
・キッチンアプライアンス
・テレビ
<再建事業:収益改善に向け再構築>
・空質空調
・家電
・ハウジングソリューションズ
出所:パナソニックホールディングス グループ経営計画説明資料
祖業である家電事業の見直しや、1万人に及ぶ大規模な人員削減は、多くの注目を集めました。これほど大胆に取り組む背景には、競合よりも高いコストがあります。投資家向け説明会では、「同業他社と比較して販管費率が高い状況」、「同業他社と比較すると低収益であり、この状態では成長は望めない」といった言葉で、パナソニックホールディングスが置かれた厳しい競争環境を説明しました。
費用削減や事業の整理に取り組む一方で、「重点投資領域」と位置付けるのがソリューション領域です。世界トップシェアの事業群を基盤に、エネルギーソリューションとサプライチェーンマネジメントを軸としたサービスを提供します。先のパナソニックの再編も、ソリューション領域の強化が狙いです。
【ソリューション領域の例】
・データセンター向け電源
・創蓄省エネ
・サプライチェーンマネジメントソフトウェア
・コールドチェーン(ショーケース、冷凍機、厨房機器など)
・アビオニクス(航空機向け電子機器・通信)
・現場・工場向けソリューション
・電設資材・照明
出所:パナソニックホールディングス グループ経営計画説明資料
これら固定費の削減と事業ポートフォリオ変革により、27年3月期に調整後営業利益(※)で6000億円以上を計画します(25年3月期は4672億円)。29年3月期にはROEと調整後営業利益率でそれぞれ10%以上(25年3月期はそれぞれ7.9%、5.5%)を達成し、高収益企業へ変化することを目指します。
※調整後営業利益…売上高-売上原価-販売費および一般管理費