残価設定クレジットは、一般的なローンと何が違うのか

ただし、ローンを組む以上は金利を支払わなければなりません。このローンの負担感を軽く感じさせるためのものが、残価設定クレジットです。

たとえば500万円の新車を購入するのに頭金0円、返済期間5年(=60カ月)、金利1.65%、ボーナス月の上乗せ金額を0円でシミュレーションすると、総返済額は521万2560円。月々の返済金額は8万6876円になります。

では、これを残価設定クレジットで返済した場合はどうなるでしょうか。

残価設定クレジットとは、一定期間後に買い取ってもらうことを前提条件に組むローンのことです。残価とは、たとえば500万円のアルファードを5年間使用して売却する際に買い取ってもらえる金額のことです。仮に上記と同じ条件で、たとえば5年後の残価を200万円として計算すると、月々の返済金額は5万2126円になります。

確かに、残価設定クレジットの方が、月々の返済金額が少なく見えます。

でも、よく考えてもらいたいのは、残価設定のプロセスがブラックボックスであることです。もちろん、販売店の査定額算定には一定の基準が設けられているはずですが、一般的に販売店の査定額は、他の中古車買い取り業者に比べて厳しいと言われています。残価設定クレジットで、5年後の残価が200万円に設定された車を、中古車買い取り業者に査定してもらったら、買い取り額が250万円になったというケースも、十分にありえる話です。もしそうなったら、どちらが有利でしょうか。

500万円で買った自動車を5年間乗って、250万円で買い取ってもらえたとしたら、実質的には5年間で250万円のローンを組んだのと同意です。この場合、前出と同じように、頭金0円、返済期間5年(=60カ月)、金利1.65%、ボーナス月の上乗せ金額を0円でシミュレーションすると、月々の返済金額は4万3438円になります。

もちろん、こういう反論もあるでしょう。「250万円で買い取ってもらえるかどうかは分からない。それよりも残価設定の金額を明示してくれる残価設定クレジットの方が、より確実ではないか」。

確かに、前述の事例にもあるように、500万円の自動車に5年間乗用した後の残価が200万円で設定されていれば、それはそれで安心でしょう。ただ、問題なのは車両の状態次第で、200万円の残価が190万円、180万円というように減額されてしまうことがある点に、注意しなければなりません。